東京を構成する低地、沖積台地を昔に遡って概観するとその土地柄が見えてきます。
水の豊富な運河エリアとでもいえる「江戸」以前のこの地域の自然環境を知ることは、人の手による都市化以後の東京を知るためにも重要です。

この章では、その水を基盤とした全体像を概観します。
東京学芸大学地理学会シリーズ2「身近な環境を調べる」の「1.6公園を調べる」では、公園と湧水の関連を以下のように述べ、武蔵野台地にある公園と水(湧水や川)を概観する地図を掲載しています。

東京の昔からの水環境を一目概観するのに最適なので、以下に転載します。

<転載部分>

2.公園と湧水

公園にある池やせせらぎなど水に関わるものは、景観上のアクセントになり、また人に大きな安らぎを与えている。また、湧水を中心に公園となったところも多くある。
東京都の武蔵野台地には湧水のある公園が多数存在する。(東京都地質調査業協会、2000)
武蔵野台地の湧水は、国分寺崖線や府中崖線と呼ばれる台地の崖の前面から湧出するものと、台地に刻まれた古い谷地形から湧出する谷頭タイプがある。
前者は野川公園や世田谷区立大蔵三丁目公園などで観察することができ、後者には井の頭公園、善福寺公園、三宝寺公園などがある。こうした場所では、武蔵野台地の地質や地形と湧水の関係などについて調べることができる。(図1)




<転載、以上>

上記にある「湧水を中心に公園になったところもある」という表現は、実際には、幾分ニュアンスが違うようです。

「湧水があること=重要な土地」と考えられ、その土地の人々や支配していた層がその場所を特定の某の持ち物とせずに「公(入会地など)」のものとしたことで、「公園」になったというのがほんとうでしょう。

その意味では、この地図上には、記載がありませんが、「石神井川」の源となる湧水の場所が、小金井公園となったことも忘れてはいけないでしょう。

また、その湧水を入口に、「川」、そして海にそそぐ「湊」も重要な存在としてそれぞれの地域に様々な恩恵を与えた筈です。水は植物はもとより、人の暮らしになくてはならないものとして、重要な地域となったことが想像されます。

このサイトの別カテゴリーでは、こうしたそれぞれの湧水から川、湊への系統を詳細に分析研究することでその土地柄を分析をしていく予定です。