小金井市誌での小金井の植生記述からほとんどの小金井の小中学校で郷土教育に利用している郷土資料である
「小金井市誌」。その小金井の生物相、特に植物についての記述をご紹介します。
利用した「小金井市誌」は、昭和43年版ですので、改めて最新版も調べ、後段で、比較しても見たいと思います。
先ず最初にその導入部の小金井市の植生を概観した部分をご紹介します。
<小金井市誌(昭和43年版)より、転載>(赤字は、本サイトで強調するために表示を変更)
A 小金井の生物相1 小金井の生物とその環境小金井市は、武蔵野台地の一部を構成している。したがって、
ここに生育する生物の大部分の種類は、いわゆる温帯台地性の動植物によってしめられているわけである。
近年、小金井の都市化が急速に進み、湧泉地、小河川の汚損、汚濁が目立ち、森林や草原、田畑も住宅地に変わりつつあり、昔日の面影はかなり薄らいできている。このため、古くからの野生生物のうちには、その生育場所を失ったものも多く、生物相は、単純化する傾向をたどっている。それでも
段丘崖の緑にあるモミ・アラカシを主とした自然林、クヌギ・コナラ・アカシデ・エゴノキなどを主とした雑木林、野川およりその流域の低湿地沖積地、玉川上水およびその分水畔などには、見るべき植物が少なくない。
老樹、および大木などについては、国指定の名勝である玉川上水辺のサクラを除いて特筆すべきものは見当たらない。このサクラも道路整備、煤煙などにより、枯死、もしくは枯死寸前の状態にあることはいたましい。動物関係で分布上とくに注目すべきものは認められない。
以上に小金井の主な野生生物の現代相を記録するわけであるが、無脊椎動物の多くと、コケ類以下の下等動物については調査をしていないため、記載しない。また、紙面の関係で学名を省略し、一般に用いられている分類方式による和名のみで記載した。植物については、その代表的なものだけにとどめた。
くわしくは、北多摩北部地区の植物(1966年 本田正次他著)、北多摩北部地域の動物(1966年 岸田久吉他著)、北多摩植物誌(1961年 飯泉優著)、小金井の野外植動物�機銑�(1958〜1960年 飯泉優著)を参照されたい。<転載、以上>
<解説>小金井市の地形、地勢を「武蔵野台地」として、そうした場所の植物(生物)相を「温帯台地性」という一言で定義しているのは、なんとも大雑把としか、言いようがありません。
その上で特徴的な植生として、以下の4つを取り上げています。
1)段丘崖の縁にあるモミ・アラカシを主とした自然林
2)クヌギ、コナラ、アカシデ、エゴノキを主とした雑木林
3)野川およびその流域の低湿性沖積地
4)玉川上水およびその分水畔
その上でさらに、紙面が少ないことを理由に詳細は、こちらの書籍、文献を参照されたいと延べて、植物関連では3種の書籍を紹介しています。その後の章では、植物名を列挙し、植物の名前を知ることができるだけで、地域植生の理解には、この3種の書籍を読まないとその植生の実態把握がこの市誌だけでは困難なことが解ります。
以下にその61頁(植物相の概要も1頁程度は割いています)から65頁に列挙された植物名と植物相の概要をご紹介します。この時点での植物相の概要は、以後の調査とも比較するためにも役立つでしょう。、是非、その後の変遷を知るためにも最新植物相の調査概要を入手した際に比較してみてください。
一方、小金井の桜については、特別扱いで66頁以降の8頁以上を割いて、詳細な解説をしています。この内容を含め。小金井の桜については、本サイトでは、こちらに別コーナーがありますので、ご覧ください。<転載、部分>
4 小金井の野外植物小金井市内に野生している羊歯植物以上の高等植物は、およそ117科、634種で(中略)
最多の種を要する科は、イネ科の76種、ついでキク科の63種である。
木本に属するものは、126種で全体の約20%を占める。その内訳は、高木48種(常緑15種、夏緑33種)、低木78種(常緑13種、夏緑65種)である。草本は508種で、約80%を占める。
また、帰化植物は、51種で、種類の上では全体の8%を占めるに過ぎないが、生活力は極めて旺盛であるため、個体数は非常に多く、路傍、荒地などを優占する比率はたいへん高いものなっている。
その他、寄生植物は、8種、半寄生植物は3種、園芸品の逸出野化しているもの19種を数えることができる。<転載、以上>
いつ、どのように実施された植生調査によるデータかは記述されていないので不明ですが、昭和43年以前のものであることは確かですので、東京都の各年度の植生調査報告と比較をしてみることも良いのではないかと思います。
以下には、各地形区分ごとの植物品種名を転載列挙されているので、それを転載しておきます。<転載部分>
地形区分による代表的な植物�_�積低地の植物
(イ)低地林
サワフタギ、ニワトコ、エノキ、ネムノキ、ナワシロイチゴ、ムラサキケマン、ヤエムグラ、ヤブマオ、ツボスミレ、ヒゴクサ、ミゾイチゴツナギ、ソクズ、アマチャズル、カキオドシ(ロ)低地草原
ヤブカンゾウ、イシミカワ、ギシギシ、ハルタデ、ハコベ、ミミナグサ、チダケサシ、カワラケツメイ、ヤブジラミ、イヌガラシ、ヤブツルアズキ、ノアザミ、キツネガヤ、ニガナ��洪積台地の植物
(イ)台地林
アカシデ、モミ、アラカシ、アカマツ、コナラ、クヌギ、ヤマハンノキ、エゴノキ、ケヤキ、ガマズミ、マユミ、ムクノキ、アキカラマツ、ハナタデ、ヌスビトハギ、ウマノアシガタ、ミツバツチグリ、オカトラノオ、アオイスミレ、シラヤマギク(ロ)台地草原
ススキ、クワクサ、ワレモコウ、ヤハズソウ、クララ、タカトウダイ、ナンテンハギ、オトギリソウ、ゲンノショウコ、アキノタムラソウ、ツリガネニンジン、ホタルブクロ、コメナモミ、カントウタンポポ、トダシバ、チガヤ、モジズリ(ハ)段丘崖縁
クサボケ、ミツバウツギ、アズマザサ、ツルマサキ、ムラサキシキブ、ヒトツバハギ、ハナイカダ、ハコネウツギ、アイアスカイノデ、ホラシノブ、ウシタキソウヒメウズ、ニリンソウ、ホウチャクソウ、キツネノカミソリ、ヤブニンジン、エビネ、ヤブラン、ナガバジャノヒゲ、ノダケ、ホシダ��湿地の植物
クロツバラ、イヌコリヤナギ、イボタ、クマヤナギ、ノイバラ、オギ、アゼスゲ、ウシノシッペイ、コブナグサ、スマトラノオ、ミゾソバ、オニキツネノボタン、エゾノサヤヌカグサ、ドジョウツナギ、ミゾコウジュ、クサヨシ、ムラサコサギゴケ�げ論遒凌∧�
(イ)池川
コウホネ、ウキヤガラ、マコモ、ナガエミクリ、ヒルムシロ、セキショウモ、ミズニラ、サンショウモ、アオウキクサ、アシ(ロ)川畔
カサスゲ、アゼスゲ、セリ、アゼムシロ、ヒメシダ、コウヤワラビ、ヤナギタデ、ボントクタデ、ムツオレグサ、チゴザサ(ハ)湧水地
アカバナ、オオバタネツケバナ、オランダガラシ、セキショウ、ネコノメソウ、ミズホオズキ(ニ)玉川上水辺およびその分水畔
ヤマブキ、タマアジサイ、ヤマアジサイ、オニグルミ、イヌザクラ、イチリンソウ、ヤマユリ、オオバギボウシ、カリガネソウ、ヤマゼリ、スズサイコ、イヌアワ、キダチネズミガヤ、レンリソウ、オカタツナミ、コモチシダ、ミツデウラボシ、オクマワラビ、テンニンソウ、ヤマツツジ、ヤマトウバナ、クルマバナ、オウレンシダ�ハ�傍、荒地の植物
エゾノギシギシ、ハルジオン、ヒメムカシヨモギ、カナムグラ、シロザ、オヒシバ、ホソアオゲイトウ、ヨウシュヤマゴボウ、ブタクサ、ハキダメギク、ヒメジオン、オオイヌノフグリ、マメグンバイ、ナズナ�ε槌�、宅地の植物
(イ)田
アズマツメクサ、アワゴケ、コナギウリカワ、タガラシ、カズノコグサ、シソクサ、アズマオモダカ、ムシクサ、ウラジロサナエタデ(ロ)畑
カヤツリグサ、コヒルガオ、カラスビシャク、スズメノカタビラ、ジシバリ、スベリヒユ、イヌビエ、オオバコ、アキヒメシバ、ノゲシ(ハ)宅地
ザクロソウ、ツメクサ、トキンソウ、ウリクサ、ハハコグサ、ナズナ、ニワホコリ、ヒンジガヤツリ、ツユクサ、ドクダミ、オニタビラコ、タチイヌフグリ、ヤブタビラコ、トキワハゼ、イヌビユ山地性に属する植物オオバギシギシ、オオバジャノヒゲ、ケスゲ、チョウセンガリヤス、ハヤガネ、ヤマユリ、アカショウ、ウシタキソウ、エゾタチカタバミ、ダケゼリ、クサコアカソ、タチフウロ、ホタルサイコ、メギ、ヤマボウシ、オオナンバンギセル、キセワタ、カリガネソウ、クサレダマ、シロヨメナ、ツルカノコソウ、ハバヤマボクチ、ミヤコアザミ、キクアザミ、シノブ、カラハナソウ暖地性の属する植物オオバノイノモトソウ、カニクサ、コモチシダ、タチシノブ、ハシゴシダ、ホラシノブ、マメヅタ、イヌガヤ、イヌアワ、キダチネズミガヤ、ヤブミョウガ、アワゴケ、カラスノゴマ、コミカンソウ、ゴンズイ、サネカズラ、シロダモ、ヒメウズ、マキエハギ、ヤマコウバシ、ハコネウツギ、ユキミソウ特殊な植物オカウツボ海岸地方に産する寄生植物のハマウツボが内陸に生育している型で、貫井北町に産し、オトコヨモギ(キク科)に寄生する。
オオナンバンギセル山地に産する寄生植物で、ススキなどに寄生し、普通のナンバンギセルに似ているが3〜4倍大型である。
オニアラカシアラカシの変わりもので常葉が大きく、およそハガキ大になる。前原町に生育するものに対し、1958年、都立大学の陰山庫三によって命名されたものである。
シロシキブムラサキシキブの白花、白果実の型で、貫井北町、前原町の段丘崖縁に数株生育している。
植物の主な方言名チョコバナコヒルガオ、ヒルガオの両方に対して呼んでいる。花の形を酒のチョコに見立てたものと思われる。
ジゴクグサスギナに対しての名である。この植物の地下茎がよく発達し、一度生えるとなかなか根絶やしにならないことからの名と思われる。
コウゾナカセトキンソウに対しての呼び名であるが、芝の中などに生えたこの草がなかなか除草しにくいところからの名と思われる。
テリシラズスベリヒユのことであるが、多肉であるために除草して道端に放置しても、なかなか枯れないところからの名であろう。
キチガイグサ帰化植物のヒメスイバを関野町、梶野町あたりで呼んでいる名である。付近の人の話では、戦時中にホウレン草に似たこの植物を食べた者が発狂したからだというが、真偽のほどはわからない。
<転載、以上>
<この項、了>