トップ  >  小中学校への郷土教育としての植木・園芸文化教育  >  「郷土学習」へのアプローチ:その2-6 小学校3~4学年の「社会」科目>テーマ、モチーフ選定>郷土の何を調べるかという題材を見つける
基本的な郷土学習資料を見つけることができた次の段階では、
漠然と郷土を学習するのではなく、特定のテーマ、モチーフに絞って研究、調査することがより、高い興味を喚起することになります。

郷土学習のテーマを選定する

そのためのテーマを探す時間を「収集した文献・資料」や「ヒアリング、体験したものや人、出来事」などから、相談しあう時間を設計します。ほとんどの授業では、個人別またはグループ別などにテーマ選定を行い、次の調査、研究、発表へとつなげているようです。

この選定は自由に選ぶことが最も重要です。
ただ、郷土の要素を「郷土史や概要」などから意識的に幾つかに分けそれぞれの研究発表を聴いて、全体像を把握できるようにするという間違った方法です。もっとも大事なのは、要素を網羅することではなくて、社会科としての将来的な「歴史」「地理」「経済」その総体としての「風土」への学習も態度を育成することを目的とした授業設計です。

Step1:テーマ選定の鍵は、自由な選択ときっかけ

自由に選ぶことが大切です。但し、何故、そのテーマを選んだかは、記録しておくことが重要です。自分にとっての大切さ、価値のようなものとなります。
テーマを選んだ後に、「何故、このテーマにしたかをメモしておくこと」が良いでしょう。

さて、次の段階は、どのように調査、研究、発表を進めるかです。


Step2:テーマの学習は、3つの要素が鍵

いよいよ、学習設計ですが、その前にどうしても、これだけは知っておく必要があります。
このプロジェクトでは、この学習設計過程で3つの重要な「鍵」を考えました。


「時間的な変化を観る」
「関わってきた人の意志や思いを発見する」
「何故、***なのかという疑問をより多く発見する」

という3つです。

もちろん、基本的な調査、研究、発表のスケジュールづくりや制作、成果物を考えることも重要ですが、何より、この3つが不可欠なのです。

ひとつ目の鍵は、「歴史的な視点=時間的な流れを忘れない」という点が重要であるということからきています。
さらに二つ目は、「土地、自然などと人が関わることで風土が形成される」という理解へ段階的に到達していくアプローチが重要となると考えたための鍵です。

三つ目の鍵は、より多くの疑問を生むことで「さらなる研究への期待と継続的な疑問の解決を将来的な別な視点から解決していく経験をする」という郷土学習の将来的な展開、積み重ねへの可能性を残しておくことが必要という点からきています。

「郷土学習」は、終わることのない風土との関わりの体験であるべきだと考えています。
その意味では、
「調べきれなくて、結果発表が疑問のままでも良い」
のです。疑問は残しておくことの方が、先々のより発展的な郷土学習へのアプローチには重要となるはずです。

ある意味で「疑問を重ね、解いていく過程がそのまま、自分にとっての〝物語″になっていく体験」を大事に考えています。
風土学習というのは、「周りとの関係性の中で、ひとつの自分の物語を紡ぐ、発見する作業」なのです。そうした体験の積み重ねがそこに生きていく実感を生むという、「風土学習の基礎」であると私は、考えています。


具体的な学習設計のモデルと方法は、次項目は、「郷土学習の準備編」「モデルプロジェクト」などで展開していきます。

<この項、了>
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