【どうやって、小学校で学校コンポストを推進する準備をするか?】

さあ、では実際にどのように学校コンポストは実施できるのでしょう?
もちろん、前章の事例を研究すれば、どの小学校でもできるような気がしてきます。しかし、より効果的、かつ地域性、郷土性を考えて設計するには、準備が大事です。以下にその準備のための設計をご提案しあす。

A:まず、我が小学校の植栽や校庭などの現状を把握する

落ち葉や雑草の堆肥コンポストに大事なのは、「コンポスト設備」と「堆肥の作り方」だと思う方が多いと思います。もちろん、事例には、その仕方が掲載されています。その意味では、「どの小学校でもこのやり方さえわかれば、堆肥コンポストは可能」という気がしてきます。

でも、どこでも可能という内容ほど、課題の多いことはありません。この要素こそが、「この小学校ならではという点が失われてしまう」要素なのです。

そのために準備が必要となります。まずは、実際の堆肥に使う「落ち葉」や「雑草・草」に着目します。


つまりは、単純な
我が校では、
「落ち葉や雑草はどのようにしているの?」
「どんな落ち葉や雑草があるの?しかも、どんな時期に?」
という疑問、その問いかけから、始まります!


1)「我が小学校では、落ち葉や雑草はどのようにしているの?または、してきたの?」

知っているようで知らないのがこうした点では?
これらは、正に学校という事業所の出す「産業ごみ」です。一体、いつ、どのようにして、こうしたごみが出るのでしょう?

●業者にお願いして、収集廃棄する場合
●自分たちで収集して廃棄する場合

それぞれに「時期」と「手間」、その「量、内容」が見えてきます。
一体、現在、どのぐらいの手間と費用が掛かっているのでしょう。
また、以前はどのようにしていたのでしょう?(校庭で焼却していたなどという歴史が見えてもきます)


それが解ったら、次は、

2)「我が小学校では、どんな落ち葉や雑草、廃棄する植物、有機ごみがあるの?」

知っているようで、知らない「学校の植栽」「学校の雑草」「学校の有機ごみ」を発見する授業が見えてきます。

ここが、我が町の専門家に登場していただく、タイミングでしょう。
植木業者、園芸業者や研究者、植物の専門家、学校給食の関係者、清掃業者などです。

本サイトでは、こうした支援も各学校と実際を相談した上でそれぞれの各地域の業者にコンタクトして、実施専門家への交渉や選定にも協力を予定しています。もちろん、通常契約している業者さんの場合は、その方々との交渉やコンタクトも協力いたします。

こうした「発見」の授業のレベルは、学年により深さ、広さが異なってくることになります。園芸クラブ、料理クラブなどがあれば、花壇で不用となった草花の廃棄や雑草の始末、給食や料理の有機ごみにみんなの視線が向かう、良い機会となるでしょう。

また、授業化する前段階として、倶楽部活動や支援者による活動として「堆肥コンポスト」を試験導入して、その成果を発展させる形も検討する価値があります。

「樹種」「花や草にの品種」「食材の知識」など、学年に合った情報が必要となるはずです。広く浅くこうした内容を展開する場合もありますが、「樹種」「草花」「雑草」「食材」などをこの小学校だからという特徴を考慮して、特定して、興味を喚起する手段も重要です。

本サイトの専門家による植栽調査実施や花研究や樹木研究などを参考にして、当該する学年ごとに
「この木、この花、この草、どんな名前、顔、性格をしているの?」という事前授業を設計できたら、堆肥コンポストへの準備を楽しむこともできそうです。

また、そのデータは、学校の環境植栽データとして、記録して、再利用していくことができる重要なデータとなります。そうして、これらのデータを本サイト内に保存することで、次年度以降の授業などでも再利用することも可能になります。是非、自由に設計して、本サイト内に学校データベースを構築してみてください。

そして、それぞれのごみがでるタイミングが解れば、年間設計へと進みます。社会科の単元設計に合わせるのは、非常に難しい場合は、他の科目も視野に幾つかの単元に分散して、学校全体で設計できると良いかもしれません。もちろん、より難しい実施課題となるのは確実ですが。学校支援者のPTAやおやじの会などの協力を得て、地域全体で推進できるような準備も忘れたくないものです。


さて、現状が把握できたら、計画です。
一体どんな時期に何をすることができるかを考えていきます。


B:次には、スケジュールと進行計画立案が重要となります。

我が小学校のごみを知り、学校の植栽と落ち葉などの実態や生ごみ(給食で出る生ごみなど)を知った上で、我が校では、どのように堆肥コンポストを作れるかを計画します。


計画は、特定の学年の特定単元を目標に「ごみのしまつ」として設計する場合や学年を横断して、段階的にそれぞれの学年で実行する、次の学年にバトンタッチするなど総合学習をも視野に様々な計画を立てることも可能です。3-4年の単元では、ここまでとして、上級の学年でコンポストへと展開していくことも可能でしょう。

アフタースクールの地域住民を巻き込んだ「コミュニティスクール」との連携もありえるかもしれません。これまでに参考にした資料を元にその学校に応じた展開を計画していきたいものです。


<この項、了>