地理学会シリーズ2の各章で、目次で見ながら、このサイトでの利用できる内容を検討していきます。

まずは、「序章」から、この本の全体観を把握します。
序章

序章では、以下の項目が展開されます。転載した部分の下に赤字で付けくわえた説明は、この序章の中で本サイトでのセミナーとも連動し、重要と思われる内容です。

<序章 「みづかな地域環境を調べることの意義」(浅田学)、より転載>

1.授業観の転換を

2.地域環境を身近なものに
(1)地域を知らない子どもたち
(2)環境問題と身近な地域

3.体験学習の意義
(1)体験的な学習の重視
(2)地域を調べる学習の体験を
(3)教師が自身が地域学習を体験する

<転載、以上>


「1.授業観の転換を」について

この項目では、これまでの学校教育に不足していた点を指摘し、その後、「発展段階に即して、問題解決的な学習経験を積むことによって、子どもたちに観察力、資料を集める力、考える力、表現力などが育ってくるのである」のが重要であるとしています。
この本の基本姿勢が明確に解ります。


次にこの序章の各項目を見てみます。

「学習対象」をどう見ているか


体験的な学習の重要性については全く同意見です。
ただ、目次中に太字で強調したようにより重要、且つ強調し足りていないのは、
「子どもが知らない」のは、「大人が、地域の住民が、なにより教師が知らない」からだ

という点です。本サイトでは、この点の重要性を強調し、そのための学習とはを考えました。


ただ、確かに学校教育の新たな試みとして、2002年にはこうした提案がされたことは特筆すべきことでしょう。そして、その後どのように活用され、どのような結果を生んできたかということでしょう。是非、調べてみたい思います。


「本書の限界と限定的であるがゆえに獲得している独自性」とは

本書は、学芸大学教育学部地理学会による編集です。その具体例などは、学芸大学のある「東京都」「小金井市」というエリアを例にしているという特徴があります。
そのため、都会(東京都)、またはその校外の住宅地などの学校教育に最適な章立てと内容、ある意味ではそのような限定的な地域に、より即した、最適な内容になっています。

山間部や海岸地区、広大な牧草地区や湖の畔の学校での利用には幾分、内容的に不足しているともいえます。
ある意味で、「どの場所でも利用できる内容にまとめようとして、まとめきれていない」ということです。この点こそが本サイトが問題とする点です。
「どの地域でも活用できるような内容を求める」のではなく、本サイトがテーマ、目的としている「それぞれの地域性に合った郷土学習手法、計画の立案の必要性と実例」こそが必要な郷土学習のあるべき姿なのです。そうした基本的な視点が欠けているということなのです。

もちろん、同書は、本の大部分は利用でき、学習体験を促すという機能としては、ある程度は、有効に機能するのですが。

こうした「地域性の獲得」は次章以降で、各章立てを詳細に検討することでより明確になります。

本書は限定的であるがゆえに、東京、小金井市という地域の学校教育には、より実践的な情報を提供してくれるという特徴を持っています

このことは、このサイトの東京エリアのモデル校プロジェクトに「東京学芸大学附属小金井小中学校(大学構内)」とっては、有益な情報を多数網羅しているという点で非常にありがたい参考資料なのです。


<この項 了>