トップ  >  小中学校への郷土教育としての植木・園芸文化教育  >  郷土学習の準備  >  小学校低学年から、高学年まで>準備編:植物への視線、植生の発見と支援者交流への第一歩
この章では、「郷土学習」の小学校低学年「生活」科目へ展開するために指導する側(支援するコミュニティとの交流も含め)での準備の仕方を設計します。

植物環境の把握と支援者交流

この「植物環境の把握」と「支援者交流(づくり)」いう段階には、大きく4つの項目があります。この項目は、小学校低学年に限らず、高学年、中高等学校でも共通です。
つまり、この授業のための情報は、対象となる生徒の年代によって、より深くなっていくわけです。
普通、小学校で地域を対象とした「郷土学習」は、終わり、中高等学校へと進むと「郷土学習」は、日本の各地域、世界の中の日本と進んでいくのが、現在の指導要領です。
しかし、この「郷土学習セミナー」では、地域支援者、父兄向けセミナーがあるように、その対象とする年代層は、全世代向けです。
対象の年代に応じて、どんどん深く、専門化、総合化した内容へと進むように設計します。

地域への理解と学習は、終わりの無い、その地域に住む人々にとって、必要不可欠なものであること
が理解されていくようにと展開していきます。

「地域・風土力」理解促進が基本目的です。日本文化の植物への特異な視点をその学習の核とすることで、こうした全層向けのセミナーが可能になると考えています。



【どの年代でも繰り返される地域植生へのアプローチ】
1)校庭の植栽、花壇調査、自宅で発見する花、樹木への理解
2)学校の植栽関係者との交流、植木屋、花屋との交流
3)地域の植生への理解(古くからの原生植生や近所の公園などの植生)
4)地域支援者や各家庭での植物環境とその植物環境についての理解の程度の現状把握、支援交渉


◆これらの指導するための準備作業は、実際の授業、臨時学習などの6ヶ月前からの開始が目安です。

この4つの項目を実施設計するにあたっては、最初に展開する学校の現状ヒアリングが重要となります。
その上で、地域支援者選定、家庭(父兄)交流や支援依頼を前提に園芸文化研究業績(地域単位での研究内容)を活用していきます。

準備:その1「校庭の植栽、花壇調査、自宅とその庭などの花、植栽の情報収集」

【学校で】

指導する先生がまず、校庭の草花や木の実態を熟知することが必要となります。どんな生徒の疑問や関心事にも答えるための準備です。
調査の結果をまとめるためにも最終的には、校庭の植栽図をつくります。そのために校庭の平面図を準備します。
花壇など、既に学校で運営、設計している場合には、花壇図も準備します。
大事なことは、何がわかっていて、何がわからないかという現状の把握です。
既に名札がついている草花や樹木もあるでしょう。
大事なことは、どうして現状のようになっているか?と誰が管理しているか?どうしたら、不明な点を知る事ができるのか?という点です。


【ご家庭で】

当然、花や鉢植えなどなら購入した際に得た情報や花屋さんから聞いた情報などが基本でしょう。当然、詳しくは、憶えていないということも多い筈です。
ただ、父親や祖父の代からの庭の木々や花は良く解らない。また、マンションなどの植栽は、業者任せなので良く解らないというのも現実でしょう。
これらの場合は、支援者向けのセミナーで「花屋」「植木業者」などとの交流、情報交換も進めていきますので、その時に写真を持参していただき、その詳細を把握していただくようにします。
実際、知っておくと、子どもたちとの交流だけでなく、マンションや庭の管理に最適なのです。普段、聞けない業者の話や今後の相談などへの道も開かれ、便利です。
花や植木業者の方々にとっても、地域における市場把握と顧客情報取得と交流実現という何重にも意味のある試みとなる筈です。


準備:その2「学校の植栽関係者との交流促進」

基本的には、校庭や学校の周囲の植栽は、特定の近郊の業者委託がほとんどです。花壇などの管理も担当教諭が決まっていたり、園芸部顧問や家庭科教諭などが行っているなど学校ごとに様々でしょう。担当や業者が決まっている場合には、情報提供と同時に実態把握のためのミーティングを行い、情報交換をしておきます。

この段階で、不明な草花や樹木がないように心掛けます。不明な点がある場合は専門家に依頼して、実地調査をしておきます。

上記のご家庭での場合と同様に地域の花、植木業者との交流も特定の担当教諭や事務方のみでなく、先生たちで情報を共有することができ、生徒たちからの疑問にも多く答えられるようになります。


準備:その3「地域の植生についての情報収集」

この項目は、このサイトの園芸文化研究チームが準備した研究成果を元に指導者向けに「地域植生(地域の自然環境学習)」セミナーを行います。郊外学習などでの「公園の植生セミナー」などは、地域の公園指定管理者などの協力が欠かせません。現在、多くの公園管理を請け負っている協会団体やNPOなどの事前にコンタクトし、協力を依頼することが重要です。
もちろん、前出の学校の植栽に関する情報提供は、最も重要になります。
その他、児童向けに展開する「郷土の自然環境学習の流れに沿って同様の大人向け学習」セミナーを用意します。
具体的なセミナーは、このサイト機能を活用して行う予定です。

授業で子どもたちが受けた情報をより詳しく学ぶことによって、子どもたちの素直な疑問への対応、公園やお寺神社などで遊ぶ際の広がりや季節の行事などへの参加もより楽しくなる筈です。

準備:その4「地域支援者や各家庭での植物環境の把握とそうした環境の保護者の理解程度の現状把握と支援交渉を実施する」
>地域支援者、及び生徒父兄向け園芸、及び各種文化セミナー開催


授業は郊外学習やコミュニティスクールとして、地域や父兄の支援で展開することがより重要です。そのためには、彼らとのミーティング、説明会開催などや支援する側のまとめ役となっていただく有志の選定などが必要になります。
このための事前調査と保護者への交渉は、同じく、セミナー開始の1年以上前から計画、進めておくのが良いでしょう。授業半年前の段階で、本コミュニティ上、または支援者、父兄向けセミナーを開催します。開催にあたっては地域の花や植木業者はもちろん、フラワーアレンジ、お茶、お花の先生や地域文化を支える方々との交流も推進していきます。実際のセミナーも座学のような植物への知識だけでなく、その先の楽しみとなる様々な文化セミナーを予定しています。学校の教諭たちの参加も重要になります。

こうした総合的な地域文化推進という目的のセミナー開催であることを明確にし、具体的に提案することで、より多くの地域支援者を獲得していく予定です。


以下の項目では、それぞれの実際の実施方法を設計していきます。
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