【番付を読み解くー町案内機能を検証するー】

前の章では、番付の企画意図を行司と勧進元で読み解くことを学びました。この廠では、この繁昌町尽の特徴ともいえる「実際の繁昌程度を格付けるという目的ではなく、江戸の町案内を目的とした点」を読み解いていきます。

大関などに格付けられている町などは、町名と格付けの間にその町の場所を示す位置情報が小さな文字で記載されていますが、全くその場所が記載されていないのが、行司や勧進元です。ある意味で、行司や勧進元は、その場所を示さなくとも誰もが知っている町ということなのです。これらの町が、大江戸のその他の町を「ここも繁昌しているよ」「その場所の見つけ方は、この繁昌尽を読み解くことでできるよ」さらには、「どのように大江戸がその基点ともいえる町々から、拡がっていったのかを知らせてあげましょう」とガイド、案内するしているのが、この番付なのです。

案内は、最も良く知られている大関の町から、関脇、小結と辿っていくことで、江戸の町を案内していくわけです。基本はそうですが、それだけでないところがこの繁昌尽の知恵のしゃれている点でもあります。実は、それほど丁寧に案内はしていないのです。実は、かなり読み手を「これで解りますか?」と試すような仕掛けも数多く見られるのです。それはまるで番付自体が読者を格付けしているかのような構造なのです。「あなたはこれを読み解けるぐらい大江戸の通ですか?」といってもいるのです。


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<この項、了>
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