【文部科学省、国の取り組みを概観する】

報告書>長寿社会における生涯学習の在り方について:平成24年3月を読む:こちらから。

【各世代における社会教育をどうとらえるか?】

国(文部科学省)の考え方を良く知っておくために、前出の報告書にある各世代ごとの特性に配慮した社会教育という部分を以下に転載します。

<転載部分>

2 世代別・性別の特性への配慮

(1)幼児・青少年期の特性

○ 幼児・青少年期は、学校教育・社会教育を通じて、様々な学習を積み重ね、多くの人との出会いを通して、社会に巣立つまでの間に、成人としての素地を築く時期であり、この時期における学習が高齢期の生き方にも大きく影響を与えることとなる。

○ この時期は、子どもたちが、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、問題解決できる能力を養うことができるように、「学校」「家庭」「地域」が連携し、ボランティア活動・体験活動への参加、世代間交流の促進など、子どもたちが無理なく社会に関わることができる機会をつくり出していくことが重要である

○ 特に、核家族化が進行する中で、子どもたちが祖父母等の高齢者と一緒に生活する機会が少なくなり、人の老いや介護、人の死と向き合う経験が少なくなっている。このため、学校や地域での高齢者とのふれあい等を通じて、人の生涯や命の尊厳、高齢者の心身の特徴などその実態について理解するとともに、長寿社会における自らの生き方、人生100年時代の多毛作人生のライフデザイン、さらには生涯学習の大切さを考える機会を設けることが重要である。

(2)成人期の特性
○ 成人期は、社会人としての生活スタイルが安定していく時期であり、個人の関心、年齢、体力に応じた主体的な活動がより可能となっていく時期でもある。

○ この時期は、できるだけ早い段階から定年退職等により仕事中心の生活が大きく変化することを念頭におきつつ、自己実現や生きがいづくりで充実させることができるよう、学習活動や地域社会の取組に積極的に関わり、仕事以外の人間関係を幅広く築くとともに、健康維持・増進のため積極的にスポーツに取り組んだり、若い頃の働き方とは異なる第二、第三の人生を生きるための人生設計についての学びが必要である。

○ このように、成人期こそ、来るべき高齢期に向けた課題に対応するための学習が必要である。しかし、現実には、仕事の都合や子育てなど家庭の事情等によって学習や地域での活動に関与する人の割合は決して高くないのが現状である。

○ こうしたことから、近年では、「男性は仕事中心、女性は家事・育児中心」という固定的な性別役割分担意識に異を唱える人たちが増え、性別にとらわれず家庭や仕事を男女ともに担うという「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の実現に向けた取組が官民ともに進められ、社会的機運も高まってきている。

○ 仕事一辺倒ではなく、学習活動や地域活動にも携わる、ゆとりある生活を営むことが、視野・識見を広げることにも役立ち、業務効率を高めることにつながる。仕事とプライベート生活の両立や働き方の見直しを行うことが必要である。

(3)高齢期の特性

○ 高齢期は、定年退職等により、仕事中心の「タテ社会」での生活から家庭や地域社会中心のいわば「ヨコ社会」の生活へと新たなライフスタイルへの変更が求められる時期であり、健康で生きがいのある生活と社会との関わりが求められる一方で、人によっては、加齢に伴う心身機能の衰えや介護の問題、家庭や地域からの孤立など様々な問題が表面化してくる時期でもある。特に、男性高齢者については、一人暮らしによる孤立化など社会的自立が問題となってくることが多い。
一方、女性高齢者については、高齢期に達する以前の就業経験が少ない場合も多いため、相対的貧困率は女性の高齢単身世帯で高く、高齢女性の生活保護受給者も多い等、経済的自立が課題となる。

○ 高齢期における生活状況は、若い時期からの働き方や家族や地域との関わり方、能力開発、生活習慣等の蓄積に負う面が大きく、これまでの人生における社会的経験や知識を活かし、男女差にも配慮したきめ細かな生涯学習の推進が必要である。

○ この時期では、職業能力開発の機会の提供や就業相談などを推進し、多様な働き方の整備を通じて、経済的自立を図るとともに、それまでの人生で培ってきた知識・経験をもとに、積極的にボランティア活動などの社会貢献活動や地域活動に参画し、学びと実践を繰り返しつつ、自己実現、生きがいの創出を図っていくことが必要である。また、特に、これまで地域との関わりを持たなかった者については、役職や肩書きによらない対等なコミュニケーション方法についての学びも重要である。


<転載、以上>

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