<Wikipediaより、転載>

クララ(眩草、苦参、学名: Sophora flavescens)は、マメ科の多年草。
和名の由来は、根を噛むとクラクラするほど苦いことから、眩草(くららぐさ)と呼ばれ、これが転じてクララと呼ばれるようになったといわれる。別名:蛆殺(ごうじころし)

【分布】

本州、四国、九州の日当たりの良い草原などに自生する。日本では草原環境が農業形態の変化によって衰退しているため、自生地がかなり減少しており、これのみを食草とするチョウの一種オオルリシジミはかなり希少なものとなっている。

【特徴】

高さ50-150 cm。花期は6-7月。茎の先に薄黄色の総状花序をつける。
全草有毒であり、根の部分が特に毒性が強い。ルピナンアルカロイドのマトリンを含み、これが後述の薬効の元であるが、薬理作用が激しく、量を間違えると大脳の麻痺を引き起こし、場合によっては呼吸困難で死に至る。素人が安易に手を出すのは非常に危険である。

【利用】

根は、苦参(くじん)という生薬であり、日本薬局方に収録されている。消炎、鎮痒作用、苦味健胃作用があり、苦参湯(くじんとう)、当帰貝母苦参丸料(とうきばいもくじんがんりょう)などの漢方方剤に配合される。また、全草の煎汁は、農作物の害虫駆除薬や牛馬など家畜の皮膚寄生虫駆除薬に用いられる。
●薬効の資料は、こちらから、ご覧いただけます。

なお、延喜式には苦参を紙の原料としたことが記されているが、苦参紙と呼ばれる和紙が発見された例が存在せず、実態は不明である。2010年10月宮内庁正倉院事務所の調査で「続々修正倉院古文書第五帙第四巻」の1枚目は和紙、手触りや色合いが延喜式での工程や繊維の特徴を持ち2枚目は苦参の可能性が高いと判断した。

【種の保全状況評価】

日本の以下の都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている。

絶滅寸前または絶滅危惧種(絶滅危惧I類、CRまたはEN) - 佐賀県
危急種(VU) - 愛媛県
準絶滅危惧(NT) - 高知県、鹿児島県

◆画像(福島県会津地方、2008年6月24日)◆


<転載、以上>

●苦味成分について●
クララの根は、強い苦味物質を含むが、
マトリン(matrine)を始めとするルピナンアルカロイドである。

◆マトリンとは
化合物和名:マトリン、英名:Matrine
骨格名:ルピナンアルカロイド
生合成経路:アミノ酸(リジン)
化学式:C15H24N2O

アルカロイドで、苦味が強く、一般的な薬理作用としては、中枢抑制、抗原虫作用、抹消血管収縮、摘出腸管及び子宮の収縮、運動神経抹消抑制などが報告されています。

また、最近の研究では、マトリンは、抗がん作用があるともされています(詳細は、こちら)。in vitroでもin vivoでも強い抗腫瘍作用を示します。マトリンの抗腫瘍作用は、細胞増殖の阻害とアポトーシスの誘導によるものと考えられています。この研究についての詳細な報告は、こちらから。
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クララ(Sophora flavescens)