キンミズヒキ(金水引、Aqrimonia pilosa)は、バラ科キンミズヒキ属の一品種。
【分布】
北海道から九州、樺太・朝鮮・中国・インドシナなどに分布する多年草です。
【特徴】
茎や葉に長毛が多く、生えていますが、その密度は、株によって、様々です。
葉は互生、長さ10〜16cm、大小不揃いの5〜9枚の小葉からなる奇数羽状複葉です。小葉は長楕円形または倒卵形、縁は鈍鋸歯があり、裏面に腺点が多く、葉のつけ根には托葉があります。
茎の上部は枝分かれして花柄の短い総状花序をつける。花は直径7〜10mm、黄色の5弁花です。花柄は1.5〜2mm、小さい3尖裂した2小苞をつけます。
花弁は倒卵形または楕円形、幅が広い。萼筒は倒円錐形で果時には長さ幅ともに3mm内外、長毛を散生し、短毛を密布します。萼片は5個、副萼は多数あってかぎ状、果実がつく頃には、3mm程度になります。雄しべは、8〜15個。2個の雌しべは普通1個のみが成熟します。
果実は萼筒と萼片に包まれて熟します。果実は宿存がくの内側にでき、そのがくの縁には鋭くて内側に曲がった刺毛が多数でき、この刺毛が衣類等に附着して散布に役立っています。
花期は7〜10月
【薬効】
<e薬草ドットコムより、転載>
口内炎、下痢、吐血・喀血(かっけつ)、歯ぐきの炎症、浴湯剤
●集と調整●
夏から初秋の開花期に全草を掘り採り、水でよく洗って天日で乾燥します。
生薬名は龍牙草(りゅうげそう)又は、仙鶴草(せんかくそう)といいます。
●薬効・用い方●
有効成分:カテコールタンニン、クマリン、ルテオリンなどのフラボノイド性配糖体、揮発油、多糖体など
全草のエキスは、血小板増加による血液凝固促進と止血作用がありますので、強壮収斂(しゅうれん)止血剤とされていて、喀血(かっけつ)、血便、子宮出血などの止血に用います。
また、抗菌、消炎、鎮痛作用もあり、健胃、下痢止めにも応用されます。
乾燥した全草を、1日量10〜15グラムに、0.5リットルの水を加えて、煎じながら約3分の1の量まで煮詰めたものをこして、3回に分けて食間に温めて服用します。
歯ぐきの出血や口内炎、のどの荒れたときなどには、乾燥した全草5グラムに、0.2リットルの水を加えて煎じ、約半量まで煮詰めたもので、1日数回うがいをします。
浴湯剤として、疲労回復、筋肉の疲れをとるときなどに風呂に用いられることもあります。
皮膚炎、うるしかぶれ、にきび、などに全草を煎じた液を湿布するか塗布します。
また、ガン細胞と正常細胞の培養液に、キンミズヒキのエキスを注入すると、がん細胞だけが死滅して正常の細胞には異常がないことが確認されています。
春先の若芽や若葉を摘み、熱湯で茹でて水にさらしてから、おひたしや和え物にしたり、汁の実にしたりして食べる
<転載、以上>
漢名:龍牙草
中国では、果実の刺毛が内側に曲がった姿から「竜の牙(きば)」を連想して、龍牙草(りゅうげそう)という漢名があります。これを音読みしたのが生薬名です。