<Wikipediaより、転載>

カエデ(槭、槭樹、楓)とはカエデ科(APG植物分類体系ではムクロジ科に含める)カエデ属 (Acer) の木の総称。
モミジ(紅葉、椛)とも呼ばれるが、その場合は様々な樹木の紅葉を総称している場合もある。主に童謡などで愛でられるものはそれである。赤・黄・緑など様々な色合いを持つ為、童謡では色を錦と表現している。

【特徴】

日本のカエデとして代表されるのは、イロハモミジ (A. palmatum) である。福島県以南の山野に自生しているほか、古くから栽培も行われている。園芸種として複数の栽培品種があり、葉が緑色から赤に紅葉するものや最初から紫色に近い葉を持ったものもある。
一般に高木になる。落葉樹が多く落葉広葉樹林の主要構成種であるが、沖縄に自生するクスノハカエデのように常緑樹もある。葉は対生し、葉の形は掌状に切れ込んだものが多く、カエデの名称もこれに由来する(下記参照)。しかし、三出複葉(メグスリノキ)や単葉(ヒトツバカエデ、チドリノキ、クスノハカエデ)のものもある。
花は風媒花で、花弁は目立たなく小さい。果実は、片翼の翼果が二つずつ(稀に三つのこともある)種子側で密着した姿でつく。脱落するときは空気の抵抗を受けて回転し、滞空時間を稼いで風に運ばれやすくなっている。

【主な種】

ハウチワカエデ

オオモミジ(ヒロハモミジ、ホロナイカエデ、エゾオオモミジ) Acer amoenum Carrière

ナンブコハモミジ var. nambuanum (Koidz.) K.Ogata

ホロナイカエデ f. horonaiense (Nakai) K.Ogata

ホンドウジカエデ(ヤマモミジ) var. matsumurae (Koidz.) K.Ogata

フカギレオオモミジ(ミヤジマカエデ) f. palmatipartitum (Koidz.) K.Ogata

アサノハカエデ Acer argutum Maxim.

ナンゴクミネカエデ Acer australe (Momot.) Ohwi et Momot.

トウカエデ Acer buergerianum Miq.

ホソエカエデ Acer capillipes Maximowicz

チドリノキ(ヤマシバカエデ) Acer carpinifolium Sieb. et Zucc.

ミツデカエデ Acer cissifolium (Sieb. et Zucc.) K. Koch

ウリカエデ Acer crataegifolium Siebold et Zucc.

カジカエデ(オニモミジ) Acer diabolicum Blume ex Koch

ヒトツバカエデ Acer distylum Siebold et Zucc.

カラコギカエデ Acer ginnala Maxim.

シマウリカエデ Acer insulare Makino

ハウチワカエデ(メイゲツカエデ、アカバナハウチワカエデ、ネバリハウチワカエデ、オオメイゲツ、シナノハウチワカエデ、ケハウチワカエデ)Acer japonicum Thunb.

エゾメイゲツカエデ (モミジハウチワ) f. microphyllum (Koidz.) Rehder

メグスリノキ Acer maximowiczianum Miq.

コミネカエデ Acer micranthum Siebold et Zucc.

クロビイタヤ Acer miyabei Maxim.

ヤクシマオナガカエデ Acer morifolium Koidz.

トネリコバノカエデ(ネグンドカエデ)Acer negundo

テツカエデ Acer nipponicum H.Hara

クスノハカエデ Acer oblongum Wallich.

イロハモミジ Acer palmatum Thunb.

ベニシダレ var. dissectum Koidz.

ヤマモミジ var. matsumurae (Koidz) Ogata
オオモミジの変種とされる場合もある。

ノムラカエデ var. sanguineum (Nakai)

アオシダレ f. aosidare Nemoto

ヒガサヤマ f. hikasayama Koidz.

シメノウチ(アオノ七五三) f. linearilobum (Nakai)

オオサカズキ f. ohsakazuki Koidz.

イタヤカエデ Acer pictum Thunb.(シノニムAcer mono Maxim. var. marmoratum (Nichols.) Hara f. dissectum (Wesmael) Rehder)

エンコウカエデsubsp. dissectum (Wesm.) H.Ohashi f. dissectum (Wesm.) H.Ohashi

ウラゲエンコウカエデ f. connivens (G.Nicholson) H.Ohashi

タイシャクイタヤ subsp. taishakuense (K.Ogata) H.Ohashi

オニイタヤ subsp. pictum f. ambiguum (Pax) H.Ohashi

エゾイタヤ subsp. mono (Maxim.) H.Ohashi

ウラジロイタヤ subsp. glaucum (Koidz.) H.Ohashi

イトマキイタヤ subsp. savatieri (Pax) H.Ohashi

アカイタヤ subsp. mayrii (Schwer.) H.Ohashi

ハナノキ Acer pycnanthum K. Koch.

アメリカハナノキ(ルブラカエデ、アカカエデ、ベニカエデ) Acer rubrum L.

ウリハダカエデ Acer rufinerve Sieb. et Zucc.

サトウカエデ Acer saccharum Marshall

オオイタヤメイゲツ Acer shirasawanum Koidz.

コハウチワカエデ(イタヤメイゲツ) Acer sieboldianum Miquel

ヒメウチワカエデ(コハウチワカエデ) f. microphyllum Hara

ヒナウチワカエデ Acer tenuifolium (Koidz.) Koidz.

ミヤサマカエデ(タイワントウカエデ) Acer trifidum Hook. et Arn. var. formosanum Hayata

ミネカエデ Acer tschonoskii Maxim.

オガラバナ Acer ukurunduense Trautv. et C.A.Mey.

【人間とのかかわり】

<和名>

カエデの名称の由来は、葉がカエルの手に似ていることから「カエルデ」と呼ばれ、それが転訛したものとされている。
漢字「楓」は、本来は本種ではなくマンサク科のフウを指す。訓読みで「かえで」と読むのは葉の形が似ていることによる慣用であるが、カエデは葉が対生、フウは互生であり、植物学的には異なる植物である。 かつてはカエデ科の木には「槭」が用いられていたが、この字は常用漢字に含まれず、替わって「楓」が充てられることが多くなった。

<園芸>

日本では鮮やかな紅葉が観賞の対象とされ、庭木、盆栽に利用するために種の選抜および、品種改良が行われた。諸外国では木材や砂糖の採取、薬用に利用されるのみであったが、明治時代以後に西洋に日本のカエデが紹介されると、ガーデニング素材として人気を博し、西洋の美意識による品種も作られ、日本に「西洋カエデ」として逆輸入されている。

<食用>

サトウカエデといわれる種は樹液が甘いので、これを採集し煮詰めてメープルシロップを作ることで知られている。又このサトウカエデは、その葉っぱがカナダの国旗にデザインされていることでも有名。
まれなケースとしては、愛知県の香嵐渓で、落葉したカエデの葉を1年間塩漬けにして灰汁抜きをしたものを天ぷらにして食すことがある(香嵐渓の場合は砂糖を入れた衣にくぐらせて揚げる)。
その他、大阪府箕面市でもカエデの葉に甘い衣をつけて揚げたものが土産品として売られている(ただ、ここで使われているカエデは食用に栽培された特殊なもので自然のものではない。さらに香嵐渓と同じような下処理をしている)。

<薬用>

メグスリノキ(目薬木)(別名でチョウジャノキ(長者の木)と呼ばれる)は、苦味成分のロドンデール(視神経を活発化させる作用がある)が多く含まれている。また、古来より漢方薬として利用されており、葉や樹皮を煎じて飲用したり洗眼薬にしていたのでこの名前がついている。なお、山地に自生している。

<木材>

カエデは木材として用いられ、その際にはメイプル(メープル)材と呼ばれることが多い。メイプル材は、ハードメイプルとソフトメイプルに分けられる。ハードメイプルはソフトメイプルよりも25%硬いとされる。

ハードメイプル
サトウカエデのこと。北米、カナダ産出。重硬で肌目は緻密で衝撃にも強い。心材は硬く、辺材が用いられることが多い。鳥眼目(バーズアイ・メイプル)が現れることがある。建築材、家具、ボウリングのレーンやピン・楽器・バット(バリー・ボンズが使いはじめたことにより広まった)に使用される。

ソフトメイプル
レッドメイプル・シルバーメイプル・ボックスエルダーなどの総称。加工性が良く、狂いも少ないが虫害に弱い。だが時に虫穴からゴミが入った為に暗い縞模様を呈したものは賞用に用いられる。用途はハードメイプルとほぼ同じ。

<参考>
ニワトリの足先を食用にするとき、3つに分かれている形状からモミジという。
ダイコンに穴を開けて唐辛子を詰め、一緒にすりおろしたものをもみじおろしという。
和文通話表で、「も」を送る際に「モミジのモ」という。

<転載、以上>