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<Wikipediaより、転載>

ハギ(萩 Lespedeza)とは、マメ科ハギ属の総称。落葉低木。秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。

【名称】

「萩」は本来はヨモギ類(あるいは特定の種を挙げる資料もある)の意味で、「はぎ」は国訓である。牧野富太郎によるとこれは「艸+秋」という会意による国字であり、ヨモギ類の意味の「萩」とは同形ではあるが別字という。
「芽子」「生芽」とも字を当てる。

【分布】

東アジア、南アジア、北米東部、オーストラリアの、温帯・亜熱帯。

【特徴】

数種あるが、いずれも比較的よく似た外見である。
背の低い落葉低木ではあるが、木本とは言い難い面もある。茎は木質化して固くなるが、年々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出る。直立せず、先端はややしだれる。
葉は3出複葉、秋に枝の先端から多数の花枝を出し、赤紫の花の房をつける。果実は種子を1つだけ含み、楕円形で扁平。
荒れ地に生えるパイオニア植物で、放牧地や山火事跡などに一面に生えることがある。

【分類】

範囲

ハギ属は当初、Maximowicz (1873) により、現在のハギ属・ハナハギ属 Campylotropis ・ヤハズソウ属 Kummerowia にわたる範囲に定義された。
現在それらは3属に分けられ、それらをまとめる分類群としてハギ亜連 Lespedezinae がある。

亜属・節

ハギ属は、北米のハギ亜属 subgenus Lespedeza と、アジアのヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza に分かれる。芽生えの第1節の葉が、ハギ亜属では互生、ヤマハギ亜属では対生する。従来は、アジア・北米のハギ亜属とアジアのヤマハギ亜属に分けられていたが、この分類は系統を反映していない
2亜属は、それぞれ2節ずつ、計4節に分かれる。それらには計44種(および43雑種)が含まれる。

ハギ属 Lespedeza

ハギ亜属 subgenus Lespedeza - 北米。11種。

ハギ節 section Lespedeza - 7種。
section Lespedezariae Torr. & A. Gray - 4種。

ヤマハギ亜属 subgenus Macrolespedeza (Maxim.)H. Ohashi - アジアの系統。33種。

ヤマハギ節 section Macrolespedeza Maxim. - 9種。
シベリアメドハギ節 section Junceae (Maxim.) H. Ohashi & T. Nemoto - 24種。



代表的なものをあげる。

Lespedeza angustifolia
ヤマハギ Lespedeza bicolor
キハギ Lespedeza buergeri
Lespedeza capitata
メドハギ Lespedeza cuneata
マルバハギ Lespedeza cyrtobotrya
オオバメドハギ Lespedeza davurica = Lespedeza daurica
ビッチュウヤマハギ Lespedeza formosa
Lespedeza frutescens
Lespedeza hirta
サガミメドハギ Lespedeza hisauchii
ツクシハギ Lespedeza homoloba
カラメドハギ Lespedeza inschanica
シラハギ Lespedeza japonica
シベリアメドハギ Lespedeza juncea
Lespedeza leptostachya
Lespedeza maximowiczii
クロバナキハギ Lespedeza malanantha
ケハギ Lespedeza patens
Lespedeza pilosa
Lespedeza potaninii
Lespedeza procumbens
Lespedeza repens
Lespedeza stuevei
Lespedeza texana
ミヤギノハギ Lespedeza thunbergii
Lespedeza violacea
Lespedeza virgata
Lespedeza virginica

このほか、マメ科植物で、ハギの名を持ったものにはメドハギ・ヤブハギ・ヌスビトハギ・ネコハギなど多くのものがある。他に、ヒメハギはマメ科ではなく、ヒメハギ科に属するが、花の外見がややマメ科に似る。

主な雑種

Lespedeza × acuticarpa
Lespedeza × brittonii
Lespedeza × divaricata
Lespedeza × intermixta
Lespedeza × longifolia
Lespedeza × manniana
Lespedeza × neglecta
Lespedeza × nuttallii
Lespedeza × oblongifolia
Lespedeza × simulata

【緑化資材】

ハギは、マメ科植物特有の根粒菌との共生のおかげで、痩せた土地でも良く育つ特性がある。この特徴を買われ、古くから道路斜面、治山、砂防など現場で緑化資材として活用されている。現在では、ヤマハギ、メドハギの種子が、斜面緑化のための吹付資材として用いられている。

【文化】

和歌

古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠まれる花でもある。秋ハギと牡鹿のペアの歌が多い。

民俗

中秋の名月に萩・薄を月見団子と共に月に供える風習がある。萩も薄も、昔の日本では山野に自生する身近な植物であった。
花札の7月10点札は「萩に猪」の絵柄である。

文芸

萩の名所である歌枕として宮城野がある。
山上憶良の歌「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花(万葉集・巻八 1538)」

音楽

『萩の露』(地歌・箏曲) 幾山検校作曲。幕末に京都で活躍した盲人音楽家幾山検校の代表曲。恋に破れ涙に暮れる自分を露の萩にたとえ、秋の風物を詠み込んだ「手事もの」曲。

『萩桔梗』(端唄)

【シンボリズム】

都道府県の花

宮城県(ミヤギノハギ)

市区町村の花

北海道 - 岩内町、別海町
青森県 - 大鰐町
宮城県 - 仙台市(歌舞伎の「伽羅先代萩」に因んで名付けられたセンダイハギという品種がある)
山形県 - 長井市
埼玉県 - 日高市
茨城県 - 水戸市、高萩市
東京都 - 目黒区、武蔵野市
福井県 - 敦賀市
京都府 - 福知山市

<転載、以上>
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風土区分:日本