<森と庭園の英国史より転載>

エリザベス一世(在位1558〜1603年)の頃になると「結び目花壇」と呼ばれるイギリス独自の庭園スタイルが流行する。
「ノット」(knot)とは、紐やリボンの結び目のことで、ツゲをはじめとする常緑樹で結び目模様がデザインされたところから、この呼び名がある。
当時、イギリスでは、ギリシャ・ローマ古典建築の柱頭模様をあしらった<革ひも細工(ストラップ・ワーク)>と呼ばれる幾何学模様の装飾が流行していた。この装飾が建物の天井や壁などに施され、さらに庭園にも応用されるようになり、結び目花壇が誕生したといわれている。
ちなみに、船の速力を表す「ノット」も、本来は、船の甲板から海に投流した速力測定用のロープの結び目(測定時の目盛)を指した。

<転載、以上>

以下のノットガーデンの画像は、イギリスのシャロップシャー州クレイブリーにある「Ludstone Hall」の庭の図面とと建物と庭の画像(Ludstone Hall公式サイトにある)です。こうした庭が現在でも見られるというイギリスは貴重な庭文化の資料庫といえます。

<ノットガーデンの図面>



<Ludstone Hallの公式サイトで見られる庭の全景>

こちらからご覧ください。

<エリザベス一世時代の形式のノットガーデン画像>




さらにこの花壇に用いられた花材や細工を「森と庭園の英国史」では、次のように紹介しています。

<転載部分>

結び目花壇の素材としては、「ツゲ」のほかに「ローズマリー」や「コットン・ラベンダー」などが用いられた。
コットン・ラベンダーは、チューダー朝に小アジアから入ってきたもので、銀灰色の美しい葉をもち、丈夫なことから、素材としてうってつけだった。結び目模様のあいだにできた隙間には、色彩効果を高めるため、彩色した砂利や砕石が敷き詰められた。
結び目花壇は、成長の遅い常緑樹や、地味な薬草、それに砕石用いていることからもわかるように、花の種類がまだ少なかった時代の産物だった。

<転載、以上>