お茶の季節は、「炉(ろ)」を使う期間と「風炉(ふろ)」を使う期間とを分けています。
風炉(ふろ)は、火を入れて釜を掛ける器物のことをいいます。
風炉という言葉は、古くは『茶経』卷中四之器に「風爐:以銅、鐵鑄之、如古鼎形。」とあります。
鎌倉初期に南浦紹明(なんぽじょうみょう、1235年〜1308年)が、仏具である台子などと共に中国から持ち帰ったと伝えられていますので、鎌倉時代には、お茶では、風炉を使ってお湯を沸かすことが始まったと考えられます。

炉(ろ)は、炉(ろ)
畳の一部を切って床下に備え付けた茶用の小さな囲炉裏のことをいいます。1尺4寸四方で、通常は壁塗の炉壇が用いられます。

千利休の「南方録」によると
四畳半座敷は珠光の作事也。真座敷とて鳥子紙の白張付、松板のふちなし天井、小板ふき宝形造、一間床也。秘蔵の墨跡をかけ、台子を飾り給ふ。其後炉を切て及台を置合されし也。」とあります。
つまり、 室町期に村田珠光が四畳半に初めて炉を切り、武野紹鴎、千利休が炉の点前を定めるまでは、茶の湯では、四季を問わず風炉を用いていたということのようです。

現在では、夏の風炉、冬の炉と使い分け、風炉は、大体5月初旬、立夏(5月5日頃)前後から11月初旬、立冬(11月8日頃)前後まで用います。もちろん、冬でも炉のないところでは風炉を用います。
お茶の花もこの炉と風炉という季節に合わせて、最適な茶花は何かを説明され、立夏と立冬という季節の分かれ目で区分けされています。