前出の「公園・神社の樹木」によると、

<転載、部分>

井の頭池の周りが公園になったのは、大正六年である。今は、井の頭公池の周りにはサクラが植わっているが、開園当初の井の頭池の周りは、うっそうとしたスギ林であった。
公園を散策するための遊歩道は、スギの木立の中を通っており、荘厳な雰囲気だったという。
このスギ林は、明治前期に植えられたものである。明治四年、財政難からか明治政府は、なんと井の頭池周辺の山林を四谷の木材業者に売ってしまった。しかし、そこが水源地であるという事の重大さに気づき、明治七年に東京府に命じて買い戻した。井の頭池は、明治31年まで神田上水の水源として使われていたのである。その後、明治15年に東京府は、水源涵養のために池畔にスギを植えたのだ。スギは、土壌水分の多い場所で良く育つ木である。井の頭の湧水がスギの良木を育て、井の頭恩賜公園が開園する大正時代には、りっぱな杉林になっていた。

<転載、以上>

また、同書は、幕府の直轄地だった井の頭池の周辺、御殿山が明治には、明治政府引き渡され、御殿山は、皇室の御料地になったと伝えています。そうした大正6年には、井の頭恩賜公園となります。この開園とともにその一部となった御殿山は、一般向けにピクニックなどができる場所となり、その植生は、アカマツの林とイヌシデなどの落葉樹林が混じる森へと変貌していきます。

>注:イヌシデについては、本サイトの樹木研究にあるこちらのカテゴリーをご覧ください。

この大正期の御殿山や井の頭恩賜公園については、別な項目で説明してきたいと思います。