茶花は、お茶の流儀によって、制限はあるもののそれ自体に流儀がなく、茶花の解説書によって、様々に扱われています。
その意味では、「桔梗」の扱いも似通ってはいますが、微妙に異なっています。
このコーナーでは、その解説書別にご紹介します。

【加藤淡斎・茶花ハンドブック】
より

「淡斎茶花研究会」を主宰され、茶花の指導を各地で行われ、茶室や茶庭の設計にも長年関わられてきた加藤淡斎氏は、その死去後に同研究会の代表として淡斎氏の仕事を引きつ継がれてきた横井和子氏の共著の「茶花ハンドブック」では、桔梗は、風炉の季節(5月〜11月)の花の中でも「9月の花」として分類されています。

<解説・転載>
桔梗
キキョウ キキョウ科
日本各地に分布し、鑑賞のために栽培される。山地や草原の乾いたところに好んで生える。二重咲きや白色の園芸種が多く、根は薬用とされる。秋の七草のアサガオはおそらくこれであろう。漢名を音読みしてこの名がある。古くより茶花として使われた。
<転載、以上>

淡斎氏は、野の花としての桔梗を茶花に使うという視点で9月という遅い時期に桔梗を茶花として分類しているようです。

そのためか、同じキキョウ科の花の季節区分でも、
●8月の花としては、
「姫沙参(ヒメシャジン)」「釣鐘人参(ツリガネニンジン)」「四手沙参(シデシャジン)」「蔓人参(ツルニンジン)」「沢桔梗(サワギキョウ)」「福島沙参(フクシマシャジン)」
●6月の花としては、
「蕎麦菜(ソバナ)」「蛍袋・山蛍袋(ホタルブクロ・ヤマホタルブクロ)」
を上げています。