江戸時代に染井の植木屋「三之丞伊藤伊兵衛(三代目伊藤伊兵衛)」が元禄八年(1695年)発行した園芸書「花壇地錦抄」によると
<以下、転載>
草花夏の部
○桔梗(の)るい 何れも(夏の)末より秋初
扇子桔梗(おうぎききょう)
花るりこん、草立ちひらみ、花も平み、その形扇子のごとし。又鞍立丸きは、花七は(弁)八は(弁)にも咲く。近年珍し。
仙台(せんだい)
白き花に紫のさしまぜ、とび入りあり。
牡丹(ぼたん)
花形よし。二重三重にかさねて、うすねずみ色。
二重仙台(ふたえせんだい)
白紫咲き分け、二重
るり八重
こいむらさき、せんようなり。
白二重
しろし、二重。
紫二重
むらさき二重。
かき色
うすかきのようにみゆる。自然に二重に咲く。
沢ききょう
秋初中末 ききょうといえども花形各別なり。るり色なるちいさい花。葉の間にひしと咲く。
<転載、以上>
などの品種が愛好家の間では、知られ、栽培されていたようです。
さらに、この花壇地錦抄は、その著者の息子、四代目 伊藤伊兵衛が元禄十二卯年(1699)に出版した花の図集の「草花絵前集」にこの花壇地錦抄に対応した品種の図がある。この本の序にその父(三之丞)が描く所の草花に花の咲く頃、色彩、品位等を注し、版行したことが記されているので、実際にどのような姿であったかを感じていただくために、
その中にある3つの図(モノクロの線画)を以下にご紹介します。
<添付文解読>
花はるり、○白、○とび入り、ひとへ、二重などあり。
六月より花さく。
<添付文解読>
扇子桔梗 おうぎききょう
花の色るりこんにて、其形団扇のごとく 花びら十五六まい、又は二十花びらの余も咲出来、花は金ざし五寸余もあり。草立も平み、葉もしげりてうつくしく、六月末、七月にひらく。
<添付文解読>
牡丹桔梗 ぼたんききょう
花三重ほど自然に四重もかさね、色うすねずみ、是も大りん、出来花はかねざし三寸余、六月すゑ七月ひらく。
<転載、以上>
より、詳しい江戸の桔梗園芸は、また少しずつ御紹介していきます。
【参考資料】
「花壇地錦抄」(三之丞伊藤伊兵衛著 加藤要校注 東洋文庫288 平凡社)
「草花絵前集」(伊藤伊兵衛著 加藤要校注 同上)
<以下、転載>
草花夏の部
○桔梗(の)るい 何れも(夏の)末より秋初
扇子桔梗(おうぎききょう)
花るりこん、草立ちひらみ、花も平み、その形扇子のごとし。又鞍立丸きは、花七は(弁)八は(弁)にも咲く。近年珍し。
仙台(せんだい)
白き花に紫のさしまぜ、とび入りあり。
牡丹(ぼたん)
花形よし。二重三重にかさねて、うすねずみ色。
二重仙台(ふたえせんだい)
白紫咲き分け、二重
るり八重
こいむらさき、せんようなり。
白二重
しろし、二重。
紫二重
むらさき二重。
かき色
うすかきのようにみゆる。自然に二重に咲く。
沢ききょう
秋初中末 ききょうといえども花形各別なり。るり色なるちいさい花。葉の間にひしと咲く。
<転載、以上>
などの品種が愛好家の間では、知られ、栽培されていたようです。
さらに、この花壇地錦抄は、その著者の息子、四代目 伊藤伊兵衛が元禄十二卯年(1699)に出版した花の図集の「草花絵前集」にこの花壇地錦抄に対応した品種の図がある。この本の序にその父(三之丞)が描く所の草花に花の咲く頃、色彩、品位等を注し、版行したことが記されているので、実際にどのような姿であったかを感じていただくために、
その中にある3つの図(モノクロの線画)を以下にご紹介します。
<添付文解読>
花はるり、○白、○とび入り、ひとへ、二重などあり。
六月より花さく。
<添付文解読>
扇子桔梗 おうぎききょう
花の色るりこんにて、其形団扇のごとく 花びら十五六まい、又は二十花びらの余も咲出来、花は金ざし五寸余もあり。草立も平み、葉もしげりてうつくしく、六月末、七月にひらく。
<添付文解読>
牡丹桔梗 ぼたんききょう
花三重ほど自然に四重もかさね、色うすねずみ、是も大りん、出来花はかねざし三寸余、六月すゑ七月ひらく。
<転載、以上>
より、詳しい江戸の桔梗園芸は、また少しずつ御紹介していきます。
【参考資料】
「花壇地錦抄」(三之丞伊藤伊兵衛著 加藤要校注 東洋文庫288 平凡社)
「草花絵前集」(伊藤伊兵衛著 加藤要校注 同上)
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茶花としての桔梗 |
風土区分:日本 |
園芸品種<江戸> その2:広益地錦抄 |