<Wikipediaより転載>

カワラナデシコ(河原撫子、Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams)とは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草。秋の七草の1つであるナデシコ(撫子)は本(変)種のことを指す。別名(異名)はナデシコ、ヤマトナデシコ。

【概要】
日本では本州以西四国、九州に広く分布するほか、沖縄諸島(久米島・渡名喜島)に少数が自生する。日本国外では朝鮮、中国、台湾に分布する。主に日当たりの良い草原や河原に生育するが、路傍や山地の斜面、海岸の砂浜等でも生育する。

多年草で、高さ30〜50cm。茎は根から叢生し、節が膨らむ。葉は対生、線形〜線状披針形で長さ4〜7cm、先端は鋭く尖り、基部は茎を抱きこみ(抱茎)、無毛で、粉白色を呈す。葉柄は無い。花期は6〜9月。花は茎の頂端に付き、直径4〜5cm、がく片は3〜4cm、苞(ほう)は3〜4対ある。花弁は5枚で、先が糸状に細裂している。雄蕊は10本、雌蕊は花柱2本。色は、淡紅色が一般的だが、白色も多い。また、淡紅色と白色が混ざっている個体もある。栽培していると白色のものが淡紅色に変化したりもする。

日本では、自生地の開発や園芸用の採集、動物による食害、外来種の影響等で減少している地域もある。また、カワラナデシコは草原等の開けた環境を好む種であり、そのような環境が遷移の進行に伴い、日当たりの悪い陰的な環境に変化すると生育に適さなくなる。これは自然現象ではあるが、昔は、草原や山地、河原等の環境は人の手により草刈や枝打ち等され、里山的な利用が行われてきた。これで、日当たりの良い開けた環境が継続してきたという背景がある。近年の人間の生活習慣の変化で、このような「人為的なかく乱」が行われなくなると、カワラナデシコに代表される人間と密接な関係のある普通種が、その自生地や個体数を減少させてしまう結果となりうる。

【利用】
秋の七草の1つであることから分かるように観賞価値を認められた。栽培も行われ、特に江戸時代には変わり花の栽培が盛んで、古典園芸植物の一つともなっていたが、現在ではほとんど見られなくなり、わずかに伊勢ナデシコと呼ばれる一群などが維持されている。また、他のダイアンサス(ナデシコ)類の交配材料にも用いられる。

薬用としても利用されており、開花期の全草を瞿麦(くばく)、種子を乾燥したものを瞿麦子(くばくし)と言い、利尿作用や通経作用がある。

<転載、以上>

日本のレッドデータ検索からのカワラナデシコの情報は、こちらをご覧ください。

BGPlantsの学名検索では、
学名: Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams
和名:  カワラナデシコ
学名ステイタス: 標準
掲載図鑑とページ番号: (平凡社・日本の野生植物)草本2: 41;(講談社・Flora of Japan)2a: 200;(至文堂・日本植物誌)663;
文献情報(原記載文献など): J. L. S. B. 29: 411 (1893); Nakai in B. M. T. 43: 457 (1929); Makino & Nemoto, Fl. Jap. ed. 2: 290 (1931); Nemoto, Fl. Jap. Suppl.: 196 (1936); Ohwi, Fl. Jap.: 501 (1953), ed. Engl.: 432 (1965); Masam. in Sci. Rep. Kanazawa Univ. 2(2): 95 (1954), longicalycina; Hatus., Fl. Ryukyus: 273 (1971); Y.C.Chu, Fl. Pl. Herb. Chin. Bor.-Or. 3: 44, t. 17, f. 6 (1975); T.S.Liu & S.S.Ying, Fl. Taiwan 2: 334, t. 319 (1976); S.S.Ying, Fl. Taiwan ed. 2, 2: 358 (1996); W.T.Lee, Lineam. Fl. Kor. 1: 254 (1996). basion.: D. superbus f. longicalycina Maxim. in Acta Hort. Petrop. 11: 64 (1890).
別名: ナデシコ

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