トップ  >  品種別研究  >  「ナ行」の科名の品種  >  「ナデシコ科」研究  >  ナデシコ属 (Dianthus)  >  風土区分:日本  >  時代区分:江戸  >  文献資料より 「爲御覧瞿麦変草変花」:その1<天保年間の流行と品種番付>
爲御覧瞿麦変草変花(ごらんのためなでしこへんそうへんげ)

この文献は、天保九年に刊行されました。ナデシコ独特の位付、品種名、花色花形の説明、出品者名を記載した番付表です。
発行したのは、「杏葉館 瀑布亭 小日向瞿麦惣連中」で天保九年刊ということがわかっています。杏葉館は、前出の文献「瞿麦草譜」でも登場した鍋島直孝の号です。瀑布亭という号の人物については、まだ良く解っていません。

この番付についての説明記述(番付最下部に記述)では、

天保九年(1837年)閏(うるう)四月二十七日、杏葉館主催、同年五月七日、瀑布亭の主催という二日間二会場での出展されたナデシコ類の花合(品評会)の位付け見立番附であるとされています。

実際の番付表は、名古屋園芸・雑花園文庫サイト「花の博物館」(園芸文化協会の副会長でもある江戸園芸の研究家、小笠原左衛門尉亮軒氏による江戸園芸資料館)で見ることができます。サイトは、こちらから、ご覧いただけます。

<同サイトより転載した画像>



<以上>

位付けは、
惣太極、大極、天真、神花、精妙、稀世、獨歩、魁首、抜萃、出格、完備という十一段階に区分されています。

それぞれの撫子の花形や咲き方は、
薊咲、車咲、鍬形、爪実、系咲、釼先、爪白、覆輪、蝶咲などという表現を使っています。

 出品者別出品数は、多い順に朧月庵、杏葉館、朝花、瀑布亭、陶呉園、竹林、梅園で、このメンバーが小日向瞿麦惣連中ということになるのでしょう。かなりのメンバーが「瞿麦草譜」と重なっています。
番付ならではの、「行司」「世話役」「差添」「勧進元」という役柄の部分に上記の咲き方や花形の名称を記載しています。総鉢数は102鉢という規模の二日間の花合わせだったようです。各品種名については、別な項目で取り上げるので、この文献研究では、詳細は述べません。

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