<ヤサシイエンゲイより、転載(ヘレボラス・ニゲルについての述べています)>
クリスマスローズとは
クリスマスローズを含む、キンポウゲ科ヘレボラス属はヨーロッパから西アジアにかけておよそ20種、中国に1種が知られる、毎年花を咲かせる多年草です。「クリスマスローズ」の名前は本来ヘレボラス属の中でも「ニゲル」という一つの種につけられた名前ですが、日本ではヘレボラス属全体を指すのが一般的です。言い換えれば、前者は「狭い意味でのクリスマスローズ」、後者は「広い意味でのクリスマスローズ」ともいえるでしょう。
日本では春に開花するオリエンタリスを元とした園芸品種が広く普及しており、それを見てなぜクリスマスと名前が付くのか首をかしげる方も時々おられますが、狭い意味でのクリスマスローズ「ニゲル」が12月末頃に開花すると言うと、納得していただけると思います。ちなみに、イギリスではオリエンタリスのことはレンテンローズと呼びます。これはレント(キリスト教の四旬節)の頃(多くの原種の交雑種が2〜4月に開花)に咲くので名付けられました。
クリスマスローズ(ニゲル)が日本に入ってきたのは明治初期と言われています。観賞用ではなく、薬草として試験的に植えられたのが栽培の最初とされます。
属名のヘレボラスはヒポクラテスなどが用いた名前で由来は諸説ありはっきりしません。一説には、ギリシア語のヘレイン(殺す)とボーラ(食べ物)の2語からなり、これは茎葉、根などにに有毒成分のサポニンを有するところにちなむとされます。「食べたら死ぬ」とか、「狩猟に用いられた」などがその理由とされています。
有茎種と無茎種
クリスマスローズの仲間はざっくりと有茎種(ゆうけいしゅ)と無茎種(むけいしゅ)の2タイプに分類します。ただし、どちらに分けてよいのか判断の難しい種もあり、それらは中間種と呼ぶこともあります。なぜ分けなければいけないかというと、タイプによって生育サイクルや性質が異なる、要するに育て方に違いがあるからです。 前出のニゲルは有茎種、オリエンタリスは無茎種に分類されます。
有茎種は茎を伸ばしながら葉を広げ、茎の先端に花を咲かせます。ふつうは常緑性です。
無茎種は地際から葉を広げ地上をまっすぐ伸びる茎は持ちません。花も地際から花茎を伸ばしてその先端につきます。常緑性と落葉性があります。根茎(地際を横向きに伸びる茎)は太くて短いです。
花と葉っぱ
クリスマスローズの花びらは性格に言うと萼(ガク、ガク片)です。では、花びらはどこに行ったのかというと退化して小さな蜜腺(ネクタリー)となり、おしべの付け根を囲むような形で小さく残っています。萼は通常5枚ですが、園芸品種には重なるようにたくさんついた八重咲き(ダブル)があります。また、蜜線が花びらのように大きくなったものは半八重咲き(セミダブル)と呼ばれます。花の大きさは小さなもので径1cmほど、大輪で径5cm〜6cmになります。色は緑、白、紫、ピンク、黄色などです。
花の構造は中心から雌しべ・雄しべ・蜜腺・萼となります。雄しべと蜜腺は早々にぱらぱらと散りますが、萼は長期間残り、雌しべは膨らんでタネを作ります。
葉っぱは長い葉柄(ようへい)をもちその先に小葉をつけます。小葉ややや厚めの革質で堅く、縁にぎざぎざが入るものが多いです。小葉は複数に裂けますが、種によって形や数は異なります。
仲間
ニゲル〔H. niger〕
ヨーロッパ中部から南部、西アジアまで分布します。有茎種ですが、無茎種との中間的な姿をしています。草丈は20cmほどで花色は白です。クリスマスローズというと本来は本種のことを指します。ニゲルは「黒い」の意で乾燥した根の色に由来します。
オリエンタリス〔H. orientalis〕
ギリシア、トルコなどに分布する無茎種で、レンテンローズとも呼びます。本種を元に他種を掛け合わせて作られた園芸品種群はオリエンタル・ハイブリッドとよばれ、暑さに強く日本の気候でもよく育つので、広く普及しています。
<転載、以上>
◆画像◆
<花>
クリスマスローズとは
クリスマスローズを含む、キンポウゲ科ヘレボラス属はヨーロッパから西アジアにかけておよそ20種、中国に1種が知られる、毎年花を咲かせる多年草です。「クリスマスローズ」の名前は本来ヘレボラス属の中でも「ニゲル」という一つの種につけられた名前ですが、日本ではヘレボラス属全体を指すのが一般的です。言い換えれば、前者は「狭い意味でのクリスマスローズ」、後者は「広い意味でのクリスマスローズ」ともいえるでしょう。
日本では春に開花するオリエンタリスを元とした園芸品種が広く普及しており、それを見てなぜクリスマスと名前が付くのか首をかしげる方も時々おられますが、狭い意味でのクリスマスローズ「ニゲル」が12月末頃に開花すると言うと、納得していただけると思います。ちなみに、イギリスではオリエンタリスのことはレンテンローズと呼びます。これはレント(キリスト教の四旬節)の頃(多くの原種の交雑種が2〜4月に開花)に咲くので名付けられました。
クリスマスローズ(ニゲル)が日本に入ってきたのは明治初期と言われています。観賞用ではなく、薬草として試験的に植えられたのが栽培の最初とされます。
属名のヘレボラスはヒポクラテスなどが用いた名前で由来は諸説ありはっきりしません。一説には、ギリシア語のヘレイン(殺す)とボーラ(食べ物)の2語からなり、これは茎葉、根などにに有毒成分のサポニンを有するところにちなむとされます。「食べたら死ぬ」とか、「狩猟に用いられた」などがその理由とされています。
有茎種と無茎種
クリスマスローズの仲間はざっくりと有茎種(ゆうけいしゅ)と無茎種(むけいしゅ)の2タイプに分類します。ただし、どちらに分けてよいのか判断の難しい種もあり、それらは中間種と呼ぶこともあります。なぜ分けなければいけないかというと、タイプによって生育サイクルや性質が異なる、要するに育て方に違いがあるからです。 前出のニゲルは有茎種、オリエンタリスは無茎種に分類されます。
有茎種は茎を伸ばしながら葉を広げ、茎の先端に花を咲かせます。ふつうは常緑性です。
無茎種は地際から葉を広げ地上をまっすぐ伸びる茎は持ちません。花も地際から花茎を伸ばしてその先端につきます。常緑性と落葉性があります。根茎(地際を横向きに伸びる茎)は太くて短いです。
花と葉っぱ
クリスマスローズの花びらは性格に言うと萼(ガク、ガク片)です。では、花びらはどこに行ったのかというと退化して小さな蜜腺(ネクタリー)となり、おしべの付け根を囲むような形で小さく残っています。萼は通常5枚ですが、園芸品種には重なるようにたくさんついた八重咲き(ダブル)があります。また、蜜線が花びらのように大きくなったものは半八重咲き(セミダブル)と呼ばれます。花の大きさは小さなもので径1cmほど、大輪で径5cm〜6cmになります。色は緑、白、紫、ピンク、黄色などです。
花の構造は中心から雌しべ・雄しべ・蜜腺・萼となります。雄しべと蜜腺は早々にぱらぱらと散りますが、萼は長期間残り、雌しべは膨らんでタネを作ります。
葉っぱは長い葉柄(ようへい)をもちその先に小葉をつけます。小葉ややや厚めの革質で堅く、縁にぎざぎざが入るものが多いです。小葉は複数に裂けますが、種によって形や数は異なります。
仲間
ニゲル〔H. niger〕
ヨーロッパ中部から南部、西アジアまで分布します。有茎種ですが、無茎種との中間的な姿をしています。草丈は20cmほどで花色は白です。クリスマスローズというと本来は本種のことを指します。ニゲルは「黒い」の意で乾燥した根の色に由来します。
オリエンタリス〔H. orientalis〕
ギリシア、トルコなどに分布する無茎種で、レンテンローズとも呼びます。本種を元に他種を掛け合わせて作られた園芸品種群はオリエンタル・ハイブリッドとよばれ、暑さに強く日本の気候でもよく育つので、広く普及しています。
<転載、以上>
◆画像◆
<花>
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ヘレボラス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)、レンテンローズ |