<イー薬草ドットコムより、転載>

[size=medium]薬効
滋養強壮/せき・たん/かぜ/ぜんそく(気管支ぜんそく)/百日ぜき/気管支炎(気管支カタル)
糖尿病/心臓病/リューマチ/小便不利/催乳(さいにゅう)/声のかれたとき

分布生育場所

科名:ユリ科/属名:ジャノヒゲ属
和名:蛇の鬚/生薬名:麦門冬(ばくもんどう)/学名:Ophiopogon japonicus
日本全土の丘陵地・畑、垣根の根元などに自生する、また栽培もされる

見分け方・特徴

ジャノヒゲは、短い根茎からたくさんのヒゲ根がのび、根のところどころに、蛇が卵を飲み込んだように肥大した部分が栄養分を蓄えるところで、この塊根(かいこん)があります。
葉は細長い線状で、多数が根茎から叢生しています。葉縁は全縁でそり返っています。
ジャノヒゲの葉の、この形から、蛇のヒゲあるいは竜のヒゲと呼ばれています。

花は葉間より、葉よりは短い花茎を出して、花茎の上部に紫色の総状花序をつくります。
花被は6、雄しべは6です。濃灰青色の丸くつやがあって、果実状にみえるのが種子で、ハズミ玉といって昔、女の子の遊びに用いられました。
また、葉が大きいオオバジャノヒゲが山地に自生

塊根(かいこん)ができるものには、ジャノヒゲ属とよく似たヤブランの仲間があります、ヤブランは花が上向きに咲き、種子が黒色なので区別ができます。また、ジャノヒゲの葉の幅が2〜3ミリと狭く、ヤブランは1センチあるので葉の幅でも区別ができます

採集と調整

ジャノヒゲの、根の肥大したところを栽培したものは5〜6月、一般の自生したものは秋から春先にかけ、地上部分が活動を始めない頃に採取します。

ジャノヒゲは、塊根(かいこん)だけをとり、残りはそのまま植えておけば、また、翌年には塊根(かいこん)を採取できるために、家庭での観賞をかねて薬草も採取できるすぐれた薬草のひとつです。

塊根(かいこん)部分をよく水洗いして、一度天日で半乾燥してから、半日程水につけて柔らかくなったところで、中心部の芯を抜き、再び天日で十分乾燥させます。

これを丸麦(まるばく)といい、良品です。芯を抜かないで、そのまま乾燥した長麦(ちょうばく)も効き目には変わりません。
ヤブランから採れる塊根(かいこん)を大葉麦門冬(たいようばくもんどう)といい、ジャノヒゲから採れる塊根を、麦門冬(ばくもんどう)といい区別します。
本当の麦門冬(ばくもんどう)は、ジャノヒゲから採取した塊根から調製されたものになります。

薬効・用い方

麦門冬(ばくもんどう)には、サポニン、多糖類などの成分が含まれていて、古くから漢方の要薬にされていて、滋養、強壮、咳止め、たんきり、解熱、利尿(りにょう)、催乳剤として、かぜ、ぜんそく、百日ぜき、気管支カタル、声のかすれ、糖尿病、心臓病、リューマチなどに用いられています。

麦門冬(ばくもんどう)を、きざんだもの1日量6〜12グラムに水0.5リットルを加えて、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、3回に分けて食間に服用します。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)は、こみ上げてくるような激しい咳や、痰が非常に粘っこく出づらい時に、麦門冬(ばくもんどう)10グラム、半夏(はんげ・カラスビシャク)と粳米(こうべい・玄米)を各5グラム、大棗(たいそう・ナツメ)3グラム、人参、甘草(かんぞう・カンゾウ)を各2グラムを混ぜ合わせ、水0.6リットルで約半量まで煎じ、布でこして1日3回食間に服用します。
とくに、大病後で非常に体力が衰弱した場合や、老人などで、せきが出てたんの切れが悪く、のどが詰まる場合に用いると効きめがあります。

滋養強壮には、麦門冬(ばくもんどう)と同量のハチミツを加えて、水0.5リットルを、煎じながら約半量まで煮詰めたものをこして、3回に分けて食間に服用します

その他

名の由来は、能面の翁(おきな)の髭(ひげ・あごひげ)から、尉(じょう・翁の面)の髭(ひげ)が転訛(てんか)して、リュウノヒゲ、ジョウノヒゲ、ジャノヒゲになったという

山麓や草地の日の当たる場所に自生する多年草の草本(そうほん)で、「蛇ノヒゲ」、「竜ノヒゲ」と言われるように、葉は細長い線状で、多数の根茎(こんけい)から叢生(そうせい)しています。
ジャノヒゲは、常緑性で、公園や庭や垣根ぞいに植えられていて、緑の少ない冬ではひときわ目立ちます。

東南アジアの原産ですが、広く世界で栽培されていて、マダガスカルやモーリシャスなどにも見ることができました。

<転載、以上>
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ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)