【イヌツゲの育て方】

<やさしいエンゲイより、転載>

■栽培カレンダー


季節・日常の手入れ

剪定 はじめに

葉が密に付き、芽吹く力も強いので生垣をはじめとして庭にあわせて色々なかたちに仕立てることができますが、元から仕立てるのは時間と手間がかかる上に技術も必要でシロウトには難しいので、ここではすでに仕立てられた樹形をキープする剪定を説明いたします。イヌツゲに限ったことではないのですが、樹形をきれいにキープするのは手間と時間のかかる作業です。しかし、惜しんではいけないポイントでもあります。

剪定の時期

作業は春〜秋の間ならいつでも可能ですが、伸び出るたびそのつど切っても良いのですが、それですと手間がかかります。剪定の手間と回数を最低限に抑えたい場合は、年2回を目安に作業をします。まず、春に芽吹いた枝が固くなり一旦生長が鈍る6月-7月に1度剪定を行います。少し間を開けて再び芽が伸びて2次生長がはじまりますが、それが止まる9月下旬以降に2回目の剪定を行います。こうやって生長が止まる合間に作業を行うと切ってすぐに枝が伸びてくると言うことが少ないという利点があります。

剪定のやり方

樹形を整える刈り込み剪定と風通しと日当たりを良くして害虫の発生を防ぐ透かし剪定の2つが基本となります。

剪定のやり方はまず、樹形からはみ出ている枝を輪郭に沿って刈り込んでいきます(刈り込み剪定)。
そして樹の内側の混みあった部分の枝や不要な枝があれば植木ばさみで付け根から切って風通しと日当たりを良くします(透かし剪定)。

切り口近くから芽を吹くのですが、輪郭に沿って刈り込むだけだと表面ばかり茂って樹の内側まで日が当たらずところどころ枝枯れを起こして穴が開いてしまいますので手間でも内部の枝が混みあっている場合は透かし剪定も行った方がよいです。また、株元からヤゴと呼ばれる勢いよく伸びる枝が出てきますので、これは見つけ次第付け根から切り落とします。

<仕立て方色々>


日当たり・置き場所

植栽適地日当たりの良い場所から明るい日陰が適しています。適応力が強いので湿り気のある土壌から乾燥気味の場所まで問題なく育ちます。また、肥沃な土壌が適しており、やせ地は生長が悪くよく葉を落とすので適していません。

水やり・肥料

肥沃な適地に植えていれば特に肥料を与えなくてもよく育ちます。肥料ではありませんが、アルカリ土壌を好むので、年1回程度苦土石灰を株元に施すと良いでしょう。
肥料切れを起こすと冬に葉がばっさり落ちることがあります。そのような場合は2月と7月の年2回、堆肥や化成肥料を株元にすき混みます。

用土

腐葉土や堆肥のたっぷり入った土が適しています。

植え替え・植え付け

植え付けの適期は真夏、真冬を除いた4月-6月、9月-10月が適期です。

ふやし方

さし木でふやすことができます。さし木の適期は6月-8月です。本年伸びた枝の中で勢いがよくてしっかりと固くなったものを選んで10cmほどの長さに切り、30分ほど水を吸わせたあと土に挿します。乾燥させないように管理すると1ヶ月ほどで根が出てきます。その後2年くらいは生長が鈍いですが、年を経ると勢いよく枝を伸ばすようになります。
また、雌株は果実ができますのでそれを採取してタネからふやすこともできます。秋に黒く熟した果実を採取して果肉を取り除いてすぐにまきます。すぐにまけない場合は湿らせた砂などに埋めて乾燥させないように貯蔵しておき翌春にまきます。また、斑入り種は接ぎ木でふやすこともあります。

かかりやすい病害虫

病気、害虫:
すす病
カイガラムシ
ハマキムシ


カイガラムシの1種イヌツゲマルカイガラムシが発生します。また、そのカイガラムシの排泄物からすす病を併発します。カイガラムシは植物の汁を吸い生育を衰えさせ、すす病は葉の表面にべったりとカビのようなものが付いて光合成を阻害します。発生する主な時期は5月〜6月、発生が見られたら枝葉が密生して風通しが悪くなっている場合は刈り込んで、薬剤を散布します。発生初期はカイガラムシもまだ幼虫で薬剤が効きやすいので早めの対策が大切です。
ハマキムシも同じ時期に発生しやすい害虫で薬剤を散布して駆除します。

まとめ
 
風通しが悪いとカイガラムシが発生する
樹形を整えるため、年2回程度剪定を行う
やせ地ではよく育ちません


<転載、以上>
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モチノキ属イヌツゲ(Ilex crenata)