梅の品種分類について

園芸学的に分類すると、
花の観賞を目的とする「花梅(はなうめ)」と、実の採取を目的とする「実梅(みうめ)」に分けられ、さらに、花梅は「3系9性」に分類されます。

<花梅>

野梅系(やばいけい)

野梅から変化した原種に近い梅で、中国から渡来した梅の子孫と言われています。枝は細く、花も葉も比較的小さいのが特徴です。花や葉も小ぶりですが、、とてもよい香りです。

この野梅系には、以下の4つの性があります。

野梅性(やばいしょう)

原種に近い。枝が細くトゲ状の小枝が多く、新梢は緑色で、日焼けすると赤みがでるのが特徴です。葉は、比較的小さく毛がなく、花は、白または淡紅が多く、香りが高い品種群です。

<一重咲の品種例>
白加賀・一重冬至・満月・竜眠

<八重咲の品種例>
寒衣・二重冬至・花香実・月宮殿・見鷹玉垣・思いのまま

難波性(なにわしょう)

枝は細くてよく茂り、矮小気味で、トゲ状の小枝が少ないのが特徴です。葉は丸葉で、比較的晩咲きで、花の香りが良い品種群です。差し木可能のものが多いと言われます。

<難波性の品種例>
玉拳・白難波

紅筆性(べにふでしょう)

蕾の先が紅く、尖(とが)っているのが特徴です。

<紅筆性の品種例>
八重海堂・紅筆・八重紅筆

青軸性(あおじくしょう)

枝やガクは常に緑色で、蕾も緑白色、花は青白色なのが特徴です。

<青軸性の品種例>
月の桂・月影・緑


緋梅系(ひばいけい)

野梅系から変化したもので、枝や幹の内部が紅くなるのが特徴です。花は紅色、緋色のものがほとんどで、花が白くても、枝の髄が紅いものはこの緋梅系に入ります。
葉は小さく、性質は野梅性に近く、庭木や盆栽に使われるものが多い品種群です。

この緋梅系には、以下の3性があります。


紅梅性(こうばいしょう)

花色が明るい紅色をしているのが特徴です。極少ないが、白花のものも含まれます。新梢は日焼けしても緋梅性ほど濃くならず、青みが残ります。

<一重咲品種>
紅千鶴・玉光

<八重咲品種>
唐梅・鹿児島・緋の司・黒雲


緋梅性(ひばいしょう)

花色が濃い紅色〜緋色をしているのが特徴です。新梢は日焼けすると黒褐色になります。多くは樹勢が弱いようです。

唐梅性(とうばいしょう)

花色は咲き始めは桃色〜紅色で、咲き終わりには白っぽくなるのが特徴です。花が下向きで、花柄が長いものが主流です。


豊後系(ぶんごけい)

梅と杏(アンズ)との雑種。葉は大きく育ちの良いものが多い系統です。アンズに近く、花は桃色のものが多い品種群です。

この豊後系には、以下の2性があります。


豊後性(ぶんごしょう)

アンズとの雑種性の強い梅で、枝はやや太く、樹勢は強いのが特徴です。葉は、丸葉で大きく、表面に毛があり、花は、大輪で淡紅色のものが多く、晩咲きの品種群です。

<一重咲の品種例>
真鶴・揚羽の蝶・海棠梅

<八重咲の品種例>
藤牡丹・白獅子・八重揚羽・呉服・武蔵野

杏性(あんずしょう)

豊後性よりも枝が細く、葉も小さいのが特徴です。新梢が細く、日焼けすると灰褐色になります。葉は小さく、表面に毛もありません。花は、遅咲きのものが多く、香りは低い品種群です。

<杏性の品種例>
一の谷・江南無所・三国一


<この項、続く>