<Wikipediaより、転載>

ヤマモモ(山桃、学名: Morella rubra)は、ヤマモモ科ヤマモモ属の常緑樹。また、その果実のこと。

和名の由来は、山に生えモモ[2]のような果実をつけることから。漢名は楊梅(ようばい、ヤンメイ、(拼音: yángméi)、別名として山桜桃、火実などがあり、古代から和歌などにも詠まれる。ベトナムでも漢名をそのまま用いて「dương mai」ズオンマイと呼ぶ。

形態・生態

高木で、成木は20mほどになる。幹は太くなると灰白色の樹皮に覆われ、多数の楕円形の皮目を持つ。古くなると縦の裂け目が出ることが多い。
葉は革質、つやのない深緑で、10cm前後の長楕円形か、やや倒卵形をしており、密に互生し、多くは枝先に束生する。成木では葉は滑らかな縁(全縁)だが、若木では不規則な鋸歯が出ることが多い。葉柄は5〜10mm程度と短い。
雌雄異株で、花期は3〜4月、数珠つなぎに小さな桃色の花弁4枚の目立たない花をつける。
6月ごろに黒赤色の果実を結ぶ。果実はほぼ球形で暗赤色、表面に粒状突起を密生する。この突起はつやがあるので、外見的には小粒の赤いビーズを一面に並べたように見える。


根粒に窒素固定を行う放線菌の1種であるフランキアを共生させており、比較的栄養の乏しい土壌でも生育できる。

ホルトノキとの区別

その姿や形はややホルトノキに似ており、本州南部以南では紛らわしいことがある。ホルトノキは落葉が赤くなり、常に少数の葉が赤く色づいているのがよい区別点になる。

【分布・生育環境】

中国大陸や日本を原産とし、暖地に生育し、暑さには強い。日本では関東以南の低地や山地に自生する。本州南部以南では、海岸や低山の乾燥した尾根など、痩せ地で森林を構成する重要樹種である。

中国では江蘇省、浙江省が有名な産地で、とりわけ寧波市に属する余姚市や慈渓市、あるいは温州市甌海区は古くから知られた産地であり、千年に及ぶとされる古木も多く残る。他に福建省、広東省、広西チワン族自治区、台湾なども産地である。

【人間との関わり】

緑化を目的とする植樹に用いられることがある。古くは、漁村において、川に栄養を与え、魚の漁獲を保証するために周辺の山野に人工林を作っていたとの伝承があり、ヤマモモがよく利用されたという。現在では街路樹として公園や街路にも植えられる。

殖やし方は、接木のほか、取り木がある。雌雄異株のため結実には雄株が必要であるが、都市部では街路樹として植栽されている雄株が随所にあるため、雌株の結実性は比較的高い。ヤマモモの果実は、鳥などに食べられ、消化された後に発芽する性質があるため、発芽率を上げるには、種子を便所の壺につけておいたとも言われる。

果実は甘酸っぱく、生で食べられる。野生種以外に、大粒で酸味の強い瑞光や大玉で酸味の弱い森口や秀光(秀峰、平井1号)などの栽培品種があり、農作物として栽培されている。中国では浙江省の「丁岙梅」や広東省の「烏酥楊梅」という品種が良質で知られている。 また、ジャム、缶詰、砂糖漬け、リキュール等に加工される。

伊豆高原地区が実のなる最北端と言われているため、伊豆急行線の各駅では、自動販売機で「やまももドリンク」というヤマモモの清涼飲料水が売られている。中国では白酒に砂糖を加え、ヤマモモの果実を漬け込んだリキュールの「楊梅酒」が広く作られている。
樹皮は楊梅皮(ようばいひ)という生薬で、タンニンに富むので止瀉作用がある。消炎作用もあるので、筋肉痛や腰痛用の膏薬に配合されることもある。
高知県ではシイラ漬漁業に使うシイラ漬の下に葉が付いたヤマモモの枝を垂らし、隠れようとする小魚を誘き寄せ、小魚を目当てに集まってくるシイラを巻き網で捕る漁法に使われている。

高知県の県の花、徳島県の県の木、知多市、西都市、下松市の市の木に指定されている。花言葉は「教訓」「ただひとりを愛する」。

【ヤマモモ属】

ヤマモモ属(ヤマモモぞく、学名: Morella)は、ヤマモモ科の属の一つ。
コウシュンヤマモモ Morella adenophora
シロコヤマモモ(英語版) Morella cerifera
ヤマモモ Morella rubra

<転載、以上>

家庭などで、比較的育てやすい果実としての品種には、以下のような品種があります。

瑞光(ずいこう)
 
直径3cmにもなる大果種で、広く普及している品種です。収穫後、足のはやいヤマモモの中では比較的日持ちがよい。酸味が強いので加工向きです。

森口(もりぐち)

大果種で、果実の直径は約3cm。甘みが強く生食向きですが、収穫後、やや足がはやい。