トップ  >  品種別研究  >  「サ行」の科名  >  「スミレ科」研究  >  スミレ属(Viola)  >  ニオイスミレ(Viola odorata)  >  風土区分:ヨーロッパ  >  古代ギリシャ  >  ギリシャ神話や古典文学にみる「ニオイスミレ」:その1「ギリシャ神話」
ギリシャ神話によれば、

「川の神(イナクス)の娘イオは、天の王ゼウスと戯れていましたが、天の女王ヘラが来るのがわかったので牝牛に姿を変えさせ隠したのですが、ヘラは直ぐに気づき、イオをアルゴスという百の目を持つ巨人に見張らせたのです。ゼウスはイオを解放すべく、伝令神ヘルメス(ゼウスの息子)にアルゴスの退治を依頼したのです。ヘルメスは牧人に化けると、美しい笛の音を奏でてアルゴスを眠りに誘い、百の目全てが閉じたのを見計らって、その首を切り落としたとされています。しかし、ヘラの怒りはとどまらず、今度は、短剣のような針を持つ巨大なアブを放ち、イオを追い回させました。牝牛の耳にアブを入れたともされています。このため、牛の姿となったイオは、世界中を逃げさまよったと伝えられています。」

「この後、さまよったあげく星になったので、ゼウスはイオの美しい目を思い、スミレの花を創りました。」という話と

「イオがエジプトに逃げたところ、ゼウスがヘラに謝罪し、ようやく許されたイオは元の姿に戻され、エジプトの地でゼウスの子・エパポスを産み、次いで、エジプト王(テレゴノス)と結婚。女王となった。」という話も伝えられています。

イオの神話からか、古代ギリシャ語では、スミレを「イオン」と呼びます。また、同時にイオニア民族の祖とされる人物も「イオン」と呼ばれるので、もしかするとニオイスミレもイオニア民族(イオのキャラクター自体がこの民族の象徴なのかもしれません)により伝えられたものかもしれません。

また、以下の神話もあります。

「イオは羊飼いの美青年アチスの許嫁でしたが、アポロンもイオを望んだので、林の女神がイオをスミレの花に変えて隠してしまいました。」

古代ギリシャ時代では、「ニオイスミレ」の爽やかで甘く気品と存在感のある香りは大変好まれ、最高級の香りとされていたために生まれた神話といえるかもしれません。
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