ヘクソカズラは、雑草として、日本各地で見ることができますが、ヘクソカズラにも亜種があるようです。

葉幅が狭く、基部が円形のものはホソバヤイトバナ(別名コバノヤイトバナ)と呼ばれています。葉幅の変化は連続的で、明確に区別できないといわれています。葉に毛が多い品種のは、ビロードヤイトバナと呼ばれます。ツツナガヤイトバナは花冠の長さが普通の3倍以上ある種類です。葉に毛がなく、艶がある海岸に生育する品種は、ハマサオトメカズラ(Paederia scandens (Lour.) Merr. var. maritima (Koidz.) H.Hara)と呼ばれています。

日本におけるレッドデータでの検索では、コバノヘクソカズラ<ホソバヤイトバナ>(Paederia scandens var. maritima f. microphylla)についてだけ、情報が掲載されています。
こちらから、ご覧ください。

どうもヘクソカズラの小型種のようです。宮島の植物は他の地域に比べ小型のものが多く観られるといいます。詳細は、広島大学の自然史博物館にあるこちらのデータをご覧ください。一部を以下に転載しておきます。

<自然史博物館データベースより転載>

宮島の植物に小形化した形態のものが多いことは,すでに乾・本田(1930),堀川(1942d),関ほか(1975)などで論ぜられている.
乾・本田(1930)は「又ヘクソカズラの葉の極端に小さくなれるもの到る処に見られることも注意すべきことなり」と述べているが,Honda(1929)は,すでにその前年に宮島から新変種として発表している.
本変種は葉の幅5〜10 mm,長さ5〜12 cmで,花をつけており,基本種のヘクソカズラに比べて葉が小型になる点で特徴付けられる.
Haraは品種として扱っているが,宮島での観察によれば,正常型との間に連続的な変異は認めがたく,変種のランクがいいと思われる.
生態的にも,コバノヘクソカズラは,宮島の自然度の高い森林の林縁に生育し,正常型はごみ焼き場とか人家付近など人為的影響のある所に見られる.
宮島以外では,隣の西能美島や倉橋島でヘクソカズラの小形のものが見られるが,宮島のものほど極端な形態ではない.
Tsukaya et al. (2006)は,コバノヘクソカズラの葉の小型化が遺伝的に固定しており,細胞数の減少が原因であることを明らかにし,新組み合わせP. foetida L. forma microphylla (Honda) Tsukaya, Imaichi & J.Yokoy.を提案している.
落葉性のつる性草本.本種は,基本種に比べて,葉が細長く小型になる点で特徴付けられる.日本と台湾に分布し,日本では宮島と金華山(岐阜県岐阜市)の2か所で生育が確認されている.正基準産地は宮島であり,多くの研究で報告されている.Tsukaya et al.(2006)はタイプ標本を含めた日本産と台湾産の計65個体について研究を行い,コバノヘクソカズラの形態的特徴は個体群内で安定したものであり,細胞数の減少が原因であることを明らかにし,新組み合わせP. foetida L. f. microphylla (Honda) Tsukaya, Imaichi & J.Yokoy.を提案している.本品種は「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)(米倉・梶田,2003–)では扱われていない.

<転載、以上>
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