<Wikipediaより、転載>

シクラメン属(シクラメンぞく、学名: Cyclamen)は、サクラソウ科の属の一つ。歴史的にはサクラソウ科にまとめられているが、近年ヤブコウジ科へ分類が一時議論されるなど、分類が不安定になっている。

【形態・生態】

根塊から育つ多年生植物。シクラメンは双子葉植物として分類されているが、実際に土から芽を出す時は一枚しか出てこない。また、子葉から数えて7、8枚目の葉が出た頃から花芽の形成が始まる。また、葉芽と花芽は一対一で発生して行く。花を放って置くとすぐ結実する(この時、この属の多くの種において、花茎が巻くことから、ギリシア語のキクロス(kyklos:螺旋・円)から属名がつけられた。但し、園芸種の元となったC.persicumとその近縁種のC.somalenseでは巻かずに垂れる)が、結実させたままにすると株が弱り、最悪枯れてしまうので、採種が目的でも数輪残すだけ、目的でなければ全て取り除くのが好ましい。
球根は茎が肥大したもので、分球しない(ただしC. rohlfsianumは、次第に生長点が増えて球根が横に広がっていき、中心部の古くなったり傷んだりした組織がなくなることで、自然と見かけ上分球したように分かれる) 。球根の乾燥への耐性は種によって異なる。 芽は球根の上部にかたまってつく。根は種によって異なり、球根の肩から出るもの(C. africanumなど)、底から出るもの(C. coumなど)、片側の側面から出るもの(C. cyprium)[7] 、全体から出るもの(C. colchicum[8]など)がある。球根が地中深すぎる位置にあると、フローラルトランクという生長点が長く伸びた器官を形成し、地上に生長点を出そうとするものもある。

【分布・生育地】

北アフリカ、中近東、ヨーロッパ[10]。

【下位分類】

本属には23種が所属する。

Cyclamen africanum Boiss. et Reut.
C. alpinum Dammann ex Sprenger
C. balearicum Willk.
C. cilicium Boiss. et Heldr.
C. colchicum (Albov) Albov
シクラメン・コウム C. coum Mill.
C. creticum (Dorfl.) Hildebr.
C. cyprium Kotschy
C. elegans Boiss. et Buhse
C. graecum Link
C. hederifolium Aiton 変種crassifoliumに似ているがクレタ島に産するものは、C. confusumとして種に格上げされた
C. intaminatum (Meikle) Grey-Wilson
C. libanoticum Hildebr.
C. maritimum Hildebr. 最初この名で記載されながら、その後C. graecumの亜種anatolicumとされていたもの。C. graecumとの分岐年代が290万-340万年前と判明し、この属での平均的な種の分岐年代の230万年を上回ることから、別種として再び記載されることとなった。
C. mirabile Hildebr.
C. parviflorum Pobed.
C. peloponnesiacum (Grey-Wilson) Kit Tan 現在は新設されたC. rhodiumの亜種peloponnesiacum という扱いである。
C. persicum Mill.
C. pseudibericum Hildebr.
シクラメン・プルプラセンス C. purpurascens Mill.
C. repandum Sm.
C. rhodium Gorer ex O. Schwarz & Lepper C. repandumから独立させたもの
C. rohlfsianum Asch.
C. somalense Thulin et Warfa
C. trochopteranthum O. Schwarz C. alpinumのシノニム。
このほか、C. purpurascensからC. fatrense Halda & Sojákを分けて認める見解もある

【主な種間交雑種】

C. x drydeniae C. alpinum とC. coumの交雑
C. x hildebrandii C. africanum とC. hederifoliumの交雑
C. x meiklei C. creticum とC. repandumの交雑
C. x saundersiae C. balearicum とC. repandum(またはC. rhodium ssp.peloponnesiacum)の交雑
C. x schwartzii C. libanoticum と C. pseudibericum の交雑
C. x wellensiekii J.H.Ietswaart C. cyprium と C. libanoticum の交雑
C. x whiteiae C. graecum と C. hederifoliumの交雑
このほか、埼玉県が開発した芳香シクラメンも、C. persicum と C. purpurascensの交雑である(詳しくはシクラメン記事内の「香りシクラメン」を参照のこと)
疑わしい物
C. x atkinsii T. Moore ex Lem. 19世紀半ばに作出されたC. persicumとC. coumの交配種とされるが、異論もある。実際、香りシクラメン作出のためにC. persicum(ぺルシカム亜属)とC. purpurascens(シクラメン亜属)を交配した時、まず未熟胚培養という20世紀以降に確立された技術を用いる必要があった(植物の組織培養全体でも最初の試みは1902年である)。C. coumもまた、C. persicumとは別のGyrophoebe亜属に属する。異種間交配が成功しやすいかどうかは分類上の近縁度のほか、染色体数も関係する。C. persicumは2n=48,C. purpurascensは2n=34,C. coumは2n=30である。


<転載、以上>
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シクラメン属(Cyclamen)