トップ  >  品種別研究  >  「ハ行」の科の品種  >  「蓮、ハス科」研究  >  風土区分:日本  >  時代区分:古代  >  常陸国風土記・鹿島神宮の蓮の薬効
【鹿島神宮の蓮】

古代史研究家の森浩一氏の著作で食に関する名著の一つが「食の体験文化史」でしょう。本サイトでは、時々この著書よりの引用、転載をしています。この著作にある「ハスとレンコン」から、古代の蓮に関する一部を以下に転載します。

<以下は、「食の体験文化史(森浩一著)」より、転載>

鹿島神宮は、茨城県鹿島町にある関東でも由緒の古い神社である。そんなことを口にするのがおかしいくらいレンコンは、野菜である。
『常陸国風土記』の鹿島の神のさまざまな描写は、文章がすこぶる美しい。たとえば毎年四月十日、祭場をもうけて酒宴をする。

「卜部(うらべ)のやから、男も女もつどいて、日を積み夜を累て、飲み楽み歌い舞う」。いや楽しそうだ。その歌は「あらさかの、神のみ酒を 飲げ(たげ)と 言ひけばかもよ 我が酔ひにけむ」。つまり、“神の酒を飲め飲めすすめるから酔ってしまった”。
酒宴の記事のあと、卜部の居住地の地形や自然を説明し「神仙の幽居する境、霊異の化誕(けたん)の地」だと述べ、不老不死の理想郷でもあるかのようにたたえ、そのあと「神世に天より流れ来し水沼(みぬま)に生える蓮根は、味気はなはだ異なり、甘(うま)きこと他所に絶(すぐ)れたり」としている。さらに病める人がその沼の蓮を食べると、早くなおる、と結んでいる。ここではレンコンに薬の効用が期待されたのである。

<転載、以上>

実際の知られている蓮の薬効は、こちらを参照してください。
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