<Wikipediaより、転載>
ツユクサ(露草、学名: Commelina communis)は、ツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。畑の隅や道端で見かけることの多い雑草である。
朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから「露草」と名付けられたという説がある。英名の Dayflower も「その日のうちにしぼむ花」という意味を持つ。また「鴨跖草(つゆくさ、おうせきそう)」の字があてられることもある。ツユクサは古くは「つきくさ」と呼ばれており、上述した説以外に、この「つきくさ」が転じてツユクサになったという説もある。「つきくさ」は月草とも着草とも表され、元々は花弁の青い色が「着」きやすいことから「着き草」と呼ばれていたものと言われているが、『万葉集』などの和歌集では「月草」の表記が多い。この他、その特徴的な花の形から、蛍草(ほたるぐさ)や帽子花(ぼうしばな)、花の鮮やかな青色から青花(あおばな)などの別名がある。
【形態・生態】
高さは15〜50cmで直立することはなく、茎は地面を這う。
6 - 9月にかけて1.5 - 2cmほどの青い花をつける。花弁は3枚あり、上部の2枚は特徴的で青く大きいが、下部の1枚は白くて小さく目立たない。雌しべが1本、雄しべが6本で成り立っている。アサガオなどと同様、早朝に咲いた花は午後にはしぼんでしまう。
【分布】
日本全土、アジア全域、アメリカ東北部など世界中に広く分布する。
【人間との関わり】
花の青い色素はアントシアニン系の化合物で、着いても容易に退色するという性質を持つ。この性質を利用して、染め物の下絵を描くための絵具として用いられた。ただしツユクサの花は小さいため、この用途には栽培変種である大型のオオボウシバナ(アオバナ)が用いられた。オオボウシバナは観賞用としても栽培されることがある。
花の季節に全草を採って乾燥させたものは鴨跖草(おうせきそう)と呼ばれ、下痢止め、解熱などに用いる。
1996年(平成8年)3月28日発売の390円普通切手の意匠になった。
【ツユクサと文学】
『万葉集』には月草・鴨頭草(つきくさ)を詠ったものが9首存在し、古くから日本人に親しまれていた花の一つであると言える。朝咲いた花が昼しぼむことから、儚さの象徴として詠まれたものも多い。
つき草のうつろいやすく思へかも我(あ)が思(も)ふ人の言(こと)も告げ来(こ)ぬ(巻4 583)
月草之 徒安久 念可母 我念人之 事毛告不来
つき草に衣(ころも)ぞ染(し)むる君がためしみ色(或 まだらの)ごろもすらむと思(も)ひて(巻7 1255)
月草尓 衣曽染流 君之為 綵色衣 将摺跡念而
つき草に衣(ころも)色どりすらめどもうつろふ色と言うが苦しさ(巻7 1339)
鴨頭草丹 服色取 摺目伴 移變色登 稱[4]之苦沙
つき草に衣(ころも)はすらむ朝露にぬれての後はうつろひぬとも(巻7 1351)
月草尓 衣者将摺 朝露尓 所沾而後者 徒去友
朝露に咲きすさびたるつき草の日くたつ(或 日たくる)なへに消(け)ぬべく思ほゆ(巻10 2281)
朝露尓 咲酢左乾垂 鴨頭草之 日斜共 可消所念
朝(あした)咲き夕(ゆうべ)は消(け)ぬるつき草の消(け)ぬべき戀(こひ)も吾(あれ)はするかも(巻10 2291)
朝開 夕者消流 鴨頭草之 可消戀毛 吾者為鴨
つき草の假(か)れる命にある人を(或 假なる命なる人を)いかに知りてか後もあはむといふ(或 あはむとふ)(巻11 2756)
月草之 借有命 在人乎 何知而鹿 後毛将相云
うち日さす宮にはあれどつき草の移ろふ心わが思はなくに(巻12 3058)
内日刺 宮庭有跡 鴨頭草乃 移情 吾思名國
百(もも)に千(ち)に人はいふともつき草の移ろふこころ吾(われ)持ためやも(巻12 3059)
百尓千尓 人者雖言 月草之 移情 吾将持八方
また、俳句においては、露草、月草、蛍草などの名で、秋の季語とされる。
<転載、以上>