<Wikipediaより、転載>
ムクノキ(椋木、椋の木、樸樹、 Aphananthe aspera)はアサ科ムクノキ属の落葉高木。東アジアに分布する。単にムク(椋)、またはエノキに似るためムクエノキ(椋榎)とも言う。
成長が比較的早く、大木になるため、日本では国や地方自治体の天然記念物に指定されている巨木がある。
【名称】
「椋」を「むく」と読むのは国訓で、本来この字は、同様に落葉高木ではあるが「ちしゃ」を意味する。ただし、「ちしゃ」はの同定にはムラサキ科のチシャノキまたはエゴノキ科のエゴノキの2説あり(他にキク科のキャベツもあるが草本なので除外する)、真の椋がどちらかは判然としない。
「椋」には「くら(蔵・倉)」の意味もある。この意味は、中国古典には見られない(「椋」音でその意味には「𢈴」を使う)が、日本独自の国訓ではなく、古代朝鮮に由来する。
「椋」を含む地名や名字は多い。「むく」と読むものも「くら」と読むものもあり、「椋本」などはどちらでも読む。
「むく」を訓とする字には「樸」もある。ただしこの字は同音の「朴(えのき、国訓 ほおのき)」と通じ、とくに現代中国の簡体字ではでは「樸」の字形も「朴」であり区別をしない。
【特徴】
分布
日本、朝鮮、台湾、中国に分布する。
日本では関東以西の本州から四国、九州でごく普通に見られ、屋久島、種子島にも分布する。琉球列島ではまれでだが、沖縄島には分布する。ムク属で唯一、日本に生息する。
【生育環境】
主に山地から低地の森林内に生育する。
特に人家周辺の神社などによく見かける。
【形態】
雌雄同株。
高さは20m以上、幹の直径は1m以上になり、板根が発達する場合もある。樹皮は淡灰褐色で、表面は平滑だが樹齢に伴ってすじや割れ目が生じ、老木では樹皮が剥がれてくる。
葉は互生し、長さ4-10cmの卵形又は狭卵形で、縁は先端まで鋸歯状、葉脚はくさび状、3行脈を持つ。葉の質は薄く、表面は細かい剛毛が生え、紙やすりのようにざらついている。
花期は4-5月ごろ。花には雄花と雌花がある。葉と展葉とともに葉の根元に淡緑色の小さな花を咲かせる。花の後に直径7-12mmの球形で緑色の果実(核果)をつける。熟すと黒紫色になり食べられる。味は非常に甘く、美味である。ムクドリなどがよく果実を食べに集まり、種子の散布にも関与している。
比較的、樹洞が形成されやすい。
【利用】
木材の質はやや堅く粘りがあるが、耐久性は低い。道具材、楽器材などに使われる。
葉の裏のざらつきを利用して、漆器の木地を磨くのに使われることもある。
【保護上の位置付け】
日本の天然記念物
椋本の大ムク(三重県津市) - 樹齢1500年、国の天然記念物
二見の大ムク(奈良県五條市) - 国の天然記念物
旭神社のムク(大阪府大阪市平野区) - 大阪府指定天然記念物
三日月の大椋(兵庫県佐用郡佐用町) - 樹齢800年、兵庫県指定天然記念物
与田寺のムク(香川県東かがわ市) - 香川指定天然記念物
蛭子神社のムク(香川県さぬき市) - 香川県指定天然記念物
大津山椋の木(熊本県南関町) - 樹齢500年、熊本県指定天然記念物
レッドデータブック
下記の地方公共団体が作成したレッドデータブックに掲載されている。
長野県:絶滅危惧IB類
富山県:希少種
沖縄県:絶滅危惧IB類
<転載、以上>