【古今集の真拆の葛(まさきのかずら)】

この真拆の葛(まさきのかずら)と詠われているのが、テイカカズラと言われているようです。
神遊びの歌で、『古今集』巻第二十・1077番歌の以下のような歌です。


とりもののうた 読み人しらず
み山には あられ降るらし と山なる まさきのかづら 色づきにけり

この歌で「かずら」が登場する意味は、同じく「とりもののうた 読み人しらず」とされる1074番の以下に続く歌を知ると良くわかるかもしれません。

1074 神がきの みむろの山の さかき葉は 神のみまへに しげりあひにけり
意味:「みむろの山」の榊の葉は、神の御前に生い茂り、そのお力を称えております。

1075 霜やたび 置けど枯れせぬ さかき葉の たち栄ゆべき 神のきねかも
意味: 霜が何度となく置いても枯れない榊の葉のように、神に仕える者たちは、栄えてゆくでありましょう。

1076 まきもくの あなしの山の 山びとと 人も見るがに 山かづらせよ
意味:「あなしの山」に住む山人と見まがうばかりに「山かづら」を身に付けよ
「あなしの山」は現在の奈良県桜井市大字穴師(あなし)および大字辻あたりの山地で、纒向(まきむく)川を挟んで、南に三輪山、南東に巻向山があります。

詞書にある 「とりもの」とは 「採物」で、神楽の時に神官が手にとって神を招く物、またはその手にとる行為のことです。古今和歌集の中では 「榊(さかき)・葛(かづら)・弓・杓(ひさご)」の四つが歌われています。
本来の 「採物」は以下の九種類であるとされているようです。

「榊」「幣」「杖」「篠」「弓」「剣」「鉾」「杓」「葛」


また、Weblioでは、まさきのかずらについては、以下のように序詞などの説明もしています。

<Weblioより転載>

常緑のつる性植物の名。「ていかかづら」とも「つるまさき」ともいわれる。ほかの木にからみついて長々とのびるので、「長し」の序詞(じよことば)となる。古くは、つるをさいて鬘(かずら)とし、神事に用いられた。まさき。[季語] 秋。

<転載、以上>

次に採物についての概説をご紹介します。

採物とは

<Wikipediaより、転載>

採物(とりもの)は、神事や神楽において巫女や神楽などが手に取り持つ道具

『古今和歌集』の「大歌所御歌」には榊・葛・弓・杓(ひさご)の4種が記され、更に神楽歌の中にはこれに加えて幣(みてぐら)・杖・弓・剣・鉾の5種が加えられて計9種類とされている。一説には杓と葛は元は一物(「杓葛」)であったとする説もある。

折口信夫は手に持って振り回すことで神を鎮める「鎮魂」の意味があったという説を立てている。


<転載、以上>