【万葉集】

万葉集では、あしび、馬酔木と呼ばれた花が「木瓜」ではないかとする説があります。同じ時期に開花し、色も白と赤があり、似た表現につかわれるからでしょうか。

【明治、昭和以降】

●小説●

夏目漱石の小説「草枕」の主人公の一節に、
「木瓜は面白い花である。枝は頑固で、かつて曲がった事がない。そんなら真直かと云うと、けっして真直でもない。・・・(中略)そこへ紅だか白だか要領を得ぬ花が安閑と咲く。柔らかい葉さえちらちら着ける。評して見ると木瓜は花のうちで、愚かにして悟ったものであろう。世間には拙を守ると云う人がある。この人が来世に生まれ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい。」

という文があります。

また漱石は“木瓜咲くや 漱石拙を 守るべく”(漱石全集)と詠んでいます。


●俳句●

*「初旅や 木瓜もうれしき 物の数」正岡子規「寒山落木 巻二」
(明治26年作。1975(昭和50)年12月、講談社「子規全集」一巻に所収。)>詳細は、こちらから

*「木瓜の花こぼれし如く低う咲く」大谷句仏「我は我」
(大谷光演、晩年の63歳の時に出版された句集「我は我」に収録)>詳細は、こちらから

*「着る人見送るや木瓜の花」許六「住吉物語」

<この項、続く>
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