<Wikipediaより、転載>

東京緑地計画

【概要】

戦前期に大都市の膨張に対処するため地方計画(regional planning)という広域都市計画の考え方、計画論が先進国で浸透し、1924年(大正13年)オランダ・アムステルダムで現在のIFHPの前身である国際都市計画会議において市街地外周のグリーンベルト設置、衛星都市の建設など6か条の決議が採択される。

これを受けて、日本でも地方計画を東京を対象として立案するために、1932年(昭和7年)10月に東京緑地計画協議会が結成される。これは内務省を中心に結成された協議会で、内務次官を会長に、内務省と警視庁、首都圏の府県や東京市(現在の23区に相当)、都市計画東京地方委員会によって構成された。東京緑地計画の計画区域は東京50km圏、962.059haという広大なもので、日本の都市計画および公園史上初めての大規模かつ具体的なマスタープランであり、これを超えるプランは今日に至るまで出現していない。

この計画の中で最も重要な計画は、東京市の外周に緑地を設置する環状緑地帯計画(1939年(昭和14年)4月策定)で、この緑地帯から石神井川、善福寺川など都市河川沿いに設置された緑地帯が市街地に貫入するように設定されている。このような放射環状の緑地帯が当時の先進国の都市計画では理想形とされていた。環状緑地帯を計画した区域は民有地の田畑・山林であったが、その拠点部分を実際に買収し、整備することになった。

このため、1940年(昭和15年)4月の都市計画法改正により都市施設のひとつとして緑地は位置づけられ、買収拠点は都市計画決定されて都市計画事業として着手される。昭和15年は紀元2600年に相当し、東京府はその記念事業という名目で砧、神代(現在の調布市)、小金井、舎人、水元、篠崎(現在の江戸川区)の6箇所に1箇所100ha以上という広大な面積をもつ大緑地を造成することにし、府会で事業予算が可決され、内務省も国庫補助をすることになる。公園緑地の整備に対する国庫補助は帝都復興事業以降では大蔵省が初めて認めたものである。

その後1942年(昭和17年)に大緑地は追加決定され、合計13箇所となる。東京緑地計画の成案に軌を合わせ大阪、名古屋、神奈川などにおいても環状緑地帯構想の具体化が図られ、昭和15年から18年にかけて大緑地が次々と都市計画決定され、続いて用地買収が開始された。大阪の鶴見緑地と服部緑地、名古屋の大高緑地、庄内緑地、横浜の保土ヶ谷緑地、川崎の等々力緑地など,今日日本の郊外市街地に存在する大規模公園はいずれもこの大緑地の遺産である。
協議会が計画対象とした緑地は後述のとおり、生産緑地や保存地などを含む広い観念で、結果的には発足研究されてきた公園設計標準を、新たに地方計画としてとり入れた「緑地」とあわせて総合的に都市内外の公園緑地計画の指針をうち出したものであると指摘されている。
実際、東京において大緑地が都市計画および事業決定を見たときには、内務省はすでに緑地の都市計画法における法文化を決定していた。すなわち昭和15年4月1日都市計画法(旧)改正により、第十一条の二、第十六条は「緑地」の文字を加えたのである。法律として「緑地」の用語が誕生したことは注目すべきだが、この「緑地」は、東京緑地計画協議会において十分検討されつくした地域性の「緑地」の定義とは異なるもので、都市公園同様に公共営造物(都市施設)であることが最も重要である。
では、公園と緑地とのちがいはどうなのか、ということは、今日でさえ明確な解答が出ていない。同じようであるようにも考えられ、そこに多少ニュアンスのちがいがあるようにもとれる。ただ簡単に説明すれば、都市公園は都市民の保健休養に端的直接に役立てるものであるから施設本位となるのに対し、緑地は、公園の機能をももつ上に更に都市防衛、都市の過大化防止策等をかねた広い意味をもち、従って面積もかなり大きく、密度の高い施設等は必要とせず、農耕地、疎林、水面、草地など、自然のままの形態を残しつつ利用に供される営造物、ということになる。都市計画法の緑地は東京緑地計画のいう緑地よりも狭い観念であり、自然の地形・風致を生かし、あまり施設整備をしない大公園という趣旨である。

緑地の分類(東京緑地計画協議会)

緑地

一 普通緑地

<1.公園>

イ 大公園
普通公園
運動公園
自然公園

ロ 小公園
近隣公園
児童公園
街園

◆公園に準ずるもの
イ 慰楽道路
ロ 連絡道路

<2.墓苑>

<3.公開緑地>

イ 第一種
神社境内地およびその付属苑地
寺院仏堂境内地およびその付属苑地

ロ 第二種
自然公物にして緑地として認定したるもの
直接公衆の用に供する国又は公共団体の施設にして緑地として認定したるもの
常時又は臨時に公開せらるる国又は公共団体の施設にして緑地として認定したるもの


ハ 第三種
共同園
私園


<4.共用緑地>

イ 学校園

ロ 団体園

◆共用緑地に準ずるもの
分区園

<5.遊園地>

二 生産緑地

1.普通農業地区

2.林業地区

3.牧野地区

4.漁業地区

三 緑地に準ずるもの

1.庭園

2.保存地

イ 第一種
天然保護区域
天然保護区域以外の史跡名勝天然記念物の指定地又は仮指定地
史跡名勝天然記念物の保存に関し主務大臣の定めたる地域
風致林
風致地区
その他

ロ 第二種
魚付林
その他

ハ 第三種
保安林
開墾制限又は禁止地
砂防指定地
河川法による権利制限地
要塞地帯および軍港要港の境域
その他

3.景園地

<転載、以上>