本サイトでの「帰化植物」に関する研究の基本・入門テキストは、
植物からの警告(湯浅浩史著、ちくま新書968)を選びました。
気候変動による生態系の変化をその生育する場所を動くことのdけいない「植物」だからこそ、最も受ける。この事実を基礎に世界中からの植物の現状を伝えるという方法で語るこの書物は、「帰化植物」という存在を考える上で重要な鍵を与えてくれます。
その第一章は、「
帰化植物の脅威」です。その第一項
「美しいが危険?」から、一部を以下に転載します。
南アフリカでの著者の経験談です。
<「植物からの警告」より、転載>
ある年、小さな町の園芸ショーを見ました。園芸ショーといっても、日本の園芸ショーと違い、南アフリカ産の野生植物を主に展示して、その栽培も展示、写真を並べている園芸ショーです。
その一角に張られているポスターに私は衝撃を受けました。
「beautiful but dangerous」(美しいが危険だ)と書いてあったのです。続いて、「they are killing our coutryside」、つまりそれらが、私たちの土地を侵しているというのです。
そして、「destroy them」退治せよ、と。
(中略)
帰化植物は、いつの間にか無意識に持ち込まれる場合と、鑑賞用など意識的に持ち込まれるものがあります。さきほど、ポスターに出ていたのは、これは無意識に持ち込まれたというより、美しいので人が鑑賞するために持ち込んだ種類に対する警鐘です。だから、「美しいけれど危険だ」という表現とともに。退治せよ、と注意をうながしていたわけです。そのようなポスターが人の集まる美しい植物を展示している園芸ショー会場に貼られていたということは、園芸が好きな人に、植物を愛する人に関心をうながし、できるだけ危険な植物を退治してもらいたいという意図があるのでしょう。
<転載、以上>
という出だしで始まるこの本は、我々が気づかずにいる帰化植物の脅威を世界という視野で伝えてくれます。しかも、気候変動という今、地球が陥っている現状を背景に忍び寄ってくる現実として目の前に提示してくれるのです。
是非、
この本を「帰化植物」というものを理解する上での基本テキスト、入門テキストとして、最初に読んでもらい、その上で自分の身の回り、その風土と地域の植生を見直してもらいたいと考えています。
本サイトの園芸文化セミナーの基本講義資料にも採用この湯浅先生の著作は、本サイトで推進している「園芸文化研究」コーナーの「園芸文化教育セミナー」の基本講義資料にも活用させていただきました。
詳細は、
こちらからご覧ください。
<この項、了>