トップ  >  桜草花名、命名研究  >  桜草名寄控・江戸末期  >  「龍(竜)」という表現 その3:「雲龍」「飛龍」などの品種
現在、「紫雲龍」を除いて、「雲龍」「飛龍」という品種を知ることができないことからも、この名前・命名の意味するところを伺い知ることは難しいといえます。

唯一の手掛かりは、以前にも他の植物・花にある同様の名前の品種の特徴が反映しているのではないかと調べてみたことがありますが、今回もこうした手法で調べてみました。

「梅」の品種で「龍」の付く、
雲龍梅(うんりゅうばい)
を見てみます。
「雲龍梅」は、バラ科の落葉高木です。中国原産の野梅系の早咲き品種の梅です。

この梅に「龍」が付いたのは、枝が自然に曲線状に生長し、龍のようにうねりのある枝ぶりからの命名のようです。
【参考】
香篆梅(こうてんばい)とも呼ばれています。江戸時代末期頃から庭木として栽培されていたといいますが、雲龍梅の名は宝永6年(1709)刊『大和本草』、小川安村の明治25年(1892)刊『梅譜』などの本草文献には、見ることができません。

次に「椿」を見てみます。椿でも同様の命名の品種があります。
「雲龍椿」
という椿があります。
やはり、梅と同様に「雲龍椿」は、まるで龍が天空高く舞い上がるように樹形が折れ曲がっている珍しい椿です。花自体は、赤い椿で「龍」をイメージさせる要素はもっていません。椿の場合も枝ぶりの表現です。


<雲龍椿の花>

<雲龍椿の枝ぶり>

以上、他の園芸植物として、桜草より前から流行していた花の場合を見ても、枝ぶりの形からの「龍」をイメージさせる場合がほとんどです。

結論としては、桜草には、枝ぶりということもなく、これらの品種の他の花の特徴から、命名されたものでないことが解るのみです。

よく、わからないというのが現状です。
桜草のどこに「龍」をイメージさせる要素を見て、命名したのでしょう?

この命名は、さらに研究する必要がありそうです。当時のこれらの品種の写真や絵が見つかることを期待したいものです。
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