大乗院寺社雑事記の「桜草」記述は、
文明十年(1478年)三月の条の末尾にあります。以下にその部分をご紹介しましょう。

庭前ノ木草花

正月梅 椿 沈丁花 二月同 花桜 信乃桜 岩柳 庭桜 桜草 全(マゝ)躰
三月 梨 海道 ス桃 桃 桜 藤 ツゝシ 山吹 木カンヒ 仙人合花 宝塔花 定春 馬蓮 スワウ 石南 スミレ ヒホネ 一ハツ カキツハタ カシワ

<以上です。漢字は別なものを一部、あてています>

三月の条の巻末に大乗院の庭の1月から3月の木や草花の様子を記載した部分として、理解されているのが通常のようです。
ただ、同じような記述は、別の月の巻末などに見られることがないので、何故、ここにこのような記述がなされたのかは、わかりません。
次の章では、桜草にだけ着目するのではなく、桜草の植えてあったこの大乗院の庭とは、どんなものだったのかを見ていきましょう。