<Wikipediaより、転載>

ヨメナ(嫁菜、学名:Aster yomena)はキク科の多年草。道端で見かける野菊の一種。

分布

本州中部以西、四国、九州に分布する。中国には一部で帰化しているらしい。

道端にごく普通の植物であるが、山間でも見かける。やや湿ったところを好む。

特徴

道端で見かける雑草に類する植物で、秋に薄紫か白い菊の花をつける。ただし、よく似た姿のキク類は他にもいくつかあり、一般にはそれらをまとめてヨメナと呼んでいることが多い。いわゆる野菊に類するものである。

地下茎があり、小さな群落を作る。茎は高さ50-100cm位になり、上の方で枝分かれして、小さな茂みを作る。葉は卵状楕円形で、粗く低い鋸歯がある。色は深緑で、つやがあまりない。周辺には浅くて大きな鋸歯がある。

秋に茎の先端から花茎を伸ばし、その先端に花をつける。花茎は基部で少し枝分かれする。花はいわゆる野菊の花である。外側にはサジ型の白い舌状花が並び、内側には黄色い管状花が密生する。

花が落ちるとあとには種子(実際は果実)が並んでいるのが見える。種子にはタンポポのような冠毛は全くなく、タイルが並んでいるような外見となる。

ヨメナの染色体数は2n=63で、これは中国から九州に入ったオオユウガギク(2n=72)と南から侵入したコヨメナ(2n=54)の交配で生まれたと考えられている。

利用

若芽を摘んで食べる。古くは万葉集の時代から使われていたようで、オハギ、あるいはウハギと呼ばれている。ヨメナご飯なども有名。名前の由来は嫁菜とも夜目菜とも言われ、はっきりしない。一説には、美しく優しげな花を咲かせるため「嫁」の名がつくといわれている[1]。なお、のぎくをヨメナの別名とする記述が国語辞典関連ではよく見られるが、植物図鑑ではヨメナの別名としてノギクを挙げた例はない。

雑草に類するものであり、見れば美しいと思うかもしれないが、積極的に育てられるものではない。駆除しようとすると地下茎があるから厄介者である。

近縁種

この属は東アジアに約十種、日本には六種が知られる。日本のヨメナ属のものはオオバヨメナを除いて、どれもよく似ている。

オオユウガギク K. incisa (Fish.) DC.
ヨメナより一回り大きく、葉はやや深く切れ込む。湿地などに生え、四国と九州、それに本州西部にある。国外では中国東北部からシベリアに産する。

カントウヨメナ K. pseudoyomena Kitam.
ヨメナに似るが、より小型。葉もやや切れ込みが深い。関東以北の本州に分布。

ユウガギク K. pinnatifida (Maxim.) Kitam.
ヨメナに似るが、より小型。葉は薄く、大きく裂けることがある。近畿地方以北の本州に分布。

コヨメナ K. indica (L.)
ヨメナに似るが全体に小型で、背丈はせいぜい50cm。四国、九州南部から琉球列島、小笠原に分布。国外では朝鮮南部、中国からインドシナ、インドまで。

オオバヨメナ K. miqueliana (Hara) Kitam.
山林に生育する種で、花はやや小さい。葉がハート形をしている。四国、九州に分布する。


類似のもの

一般に野菊と言われるものには様々なものがある。見かけの随分違うものも多いが、ヨメナに類似の植物はかなり多く、区別が難しいものもある。

特によく似ているもので最も普通なのがノコンギク(Aster ageratoides Turcz. subsp. ovatus (Franch. et Sav.) Kitam.)である。草の姿、葉の形等非常によく似ている。区別点の一つは花序の形で、ヨメナが花序の基部で分枝し、個々の花の柄は長いのに対して、ノコンギクの花序は途中から上の方で分枝するので、個々の花の柄は短い。記憶用にはこれを称して「ヨメナはハナの下が長い」という。また、ヨメナの葉がほとんど無毛なのに対して、ノコンギクは細かい毛がある。もっと確実に判断するには、種子の冠毛を見るとよい。ヨメナは全くないのに対して、ノコンギクの場合は立派な冠毛が多数ある。花が落ちるころにはブラシのような姿になるし、花が咲いていても、それをむしれば確認できる。

分類学的扱い

かつてはヨメナ属 Kalimerisに分類された。シオン属 Asterとは、痩果の上端に冠毛が発達しない点で異なるため、別属とされた。しかし、近縁であることは以前から認められ、近年では、シオン属にまとめる考えが主流になりつつある。

【画像】

<転載、以上>
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ヨメナ(Aster yomena)