<イー薬草ドットコムより、転載>

<見分け方・特徴>

多年草の草本で、地下に細い根が房状に伸びています。葉は何枚も根生しており、柄は長く、楕円形で表面と縁がやや波をうち、葉脈はほぼ平行に走っています。春から秋にわたり、葉間からのびた花茎の先に白い花を穂状につけます。
果実はがくの倍長く、楕円状で、熟すと上の部分がおちて、黒褐色の扁平な小さい種子がこぼれます。
種子の表面は粘液質に富み、水気にあうとすぐ粘って人の衣服などにくっついて広く分布域を広めます。

<採集と調整>

花期に、花穂が出て葉が十分に成長した初夏から秋にかけ、全草を採取します。水洗いして土や泥をよく落とし、根元についている枯れた葉を取り除いて最初は天日で干し、やや乾燥してから日陰で十分に乾燥させます。これを生薬の車前草(しゃぜんそう)といいます。

また、秋に結実した花穂を切り取って、新聞紙などに広げて置いて天日で乾燥し、種子のみを集めます。水気があると種子の外表皮に含まれる粘液により粘性をおびるので注意が必要です。これを生薬の車前子(しゃぜんし)といいます。
葉だけを乾燥したものを、生薬の車前葉(しゃぜんよう)といいます。
車前草(しゃぜんそう)、車前葉(しゃぜんよう)、車前子(しゃぜんし)はすべて薬用として用います

<薬効・用い方>

下痢止め、咳止め、止血、強壮には、車前草を刻んだもの、1日量10グラムに0.5リットルの水を加えて、煎じながら約半量まで煮つめたものをこして、3回に分けて食間に服用します。
咳止めには、車前草を刻んだもの10グラムに甘草(かんぞう)を3グラム加えて前記のように煎じ煮詰めます。1日に3回食間に服用します。
利尿には、車前子を1日量5〜10グラムに0.3リットルの水を加え約半量になるまで煮詰め布でこして、3回に分けて食間に服用します

利尿の目的で、新鮮なオオバコ葉をしぼり、その汁液を用いる方法が津田玄仙(つだげんせん)の「療治経験筆記(りょうじけいけんひっき)」に載せられています。それは、むくみがあって小便の少ないときに、しぼり汁50ミリリットルに半量ほどの清酒を混ぜて空腹時に飲用します。
車前子(しゃぜんし)は1日量5〜10グラムを布か和紙の袋にいれて水0.3リットルを加えて約半量になるまで煎じて、せき止めに服用します。粘液質が多く飲みにくいので、少量の甘草(かんぞう)を混ぜて煎じ出すと飲みやすくなります。

塗布:生の葉を火で炙って柔らかくしたものを患部に貼る。(腫れ物、排膿)

食べ方:若葉をつみ、塩茹でして柔らかくしてから、油いため、あえものなどにします。また、生のまま天ぷらにします

<その他>

名前の由来は、葉が広くて大きいところからオオバコ(大葉子)の名前が付けられました。人の通る道には種子が運ばれるのでいつも同伴します。

道端の雑草の中には常にオオバコを見かけることができます。その道を多くの人や車が歩くほど地面が踏み固められてしまい、いつしか他の雑草は絶えてオオバコだけが踏まれても踏まれても生き残り、ついにはオオバコだけになってしまいます

それで、漢方での名前の由来は車前(しゃぜん)または車前草(しゃぜんそう)といい、人や車の踏み通る道端の跡に好んで生える非常に生命力の強い薬草です

方言も多く、オンバコ、オバコ、ギャーロッパ、カエロッパ、ゲェーロッパ、マルコバなどがあります。
日本に見られるオオバコの仲間は、オオバコのほかにヨーロッパ産で葉がヘラ型のヘラオオバコ、大型で海浜に多いトウオオバコ、最近帰化植物として見うけられるツボミオオバコ、高山帯・北海道などの地方に見られるハクサンオオバコ、エゾオオバコなどがあり全て薬草として用います

<転載、以上>
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オオバコ(Plantago asiatica)