<Wikipediaより、転載>

コシアブラ(漉油、学名:Eleutherococcus sciadophylloides、シノニム:Acanthopanax sciadophylloides、Chengiopanax sciadophylloides)はウコギ科ウコギ属の落葉高木。

【特徴】

樹高は7 - 10m、ときに20mに達するものもある。枝および樹肌は灰白色。葉は掌状複葉で5枚の小葉からなり、長さ10 - 20cmの葉柄をもつ。小葉は倒卵形 - 倒卵状長楕円形で、頂小葉がいちばん大きく、長さ10 - 20cm、幅4 - 9cmになる。葉の先端は細く鋭くとがり、基部は鋭形で長さ1-2cmになる小葉柄に流れる。葉の縁には先が芒状にとがった鋸歯がある。
花期は8-9月。枝先に円錐花序を伸ばして、散形に多数の黄緑色の花を咲かせる。花は両性または単性で、単性の場合、花序の上部に雌性の小花序をつけ、花序の下部に雄性の小花序をつける。花弁は5枚で長さ1.5mm。雄蕊は5本あり長さ2mm。花柱は短く、先端が2浅裂する。果実は径4mmの扁平な球形で、黒色に熟す。

【分布と生育環境】

北海道、本州、四国、九州に広く分布し、冷温帯林に生育する。同じウコギ科のタラノキやウド同様、山や丘、林道脇など、開削・伐採された日当たりのよい明るい斜面に多い。

【利用】

<山菜>

春先に伸びる独特の香りを持つ新芽は食用となり、山菜として扱われる。食用とする場合は、まだそれほど大きく伸びていない芽を摘み取り、元のほうにあるハカマの部分を除いたものを調理する。肥沃な土地にあるものは、太いだけでなく養分が多く美味である。強い苦味があるため、苦味を和らげる天ぷらにすると食べやすい。またおひたしや和え物などにも調理され、塩漬けにして保存食とされる。コシアブラは中国地方ではバカと呼ばれ、新芽をバカの芽と呼び食用とする。なお、コシアブラの木そのものを切り倒して芽を摘み取る無法な乱獲行為(芽を生やす木そのものの減少を招く)が一部で生じるようになり、問題視されている。

<木材>

コシアブラの木材は、米沢市に伝わる木工工芸品の笹野一刀彫(おたかぽっぽ)を作る際の材料として用いられる。また、「刀の木」とも呼ばれる。コシアブラの枝は、皮をこするときれいに抜け、芯と皮とが分離する。これを刀と鞘に見立て、かつて子供の玩具とされたことに由来する。上記で挙げられている加工品として用いられる代表的な例はけずり花である。季節により生花を調達できないために生み出された造花である。

<樹脂>

奈良時代から平安時代にかけての文献には「金漆(ごんぜつ)」と呼ばれる黄金色に輝く塗料が登場し、工芸用塗料として珍重されたが、現在この製法は忘れ去られ、断絶している。倭名類聚砂には「金漆 開元式云 台州有金漆樹 金漆和名古之阿布良」とあり、その樹の名が「許師阿夫良能紀」であると記述されている。このため、金漆はコシアブラの幹を傷つけたときに得られる樹脂を加工したものだと考えられてきたが、現在の研究によりコシアブラからはほとんど樹脂液は出ないことが判明している。

コシアブラの和名の由来については諸説ある。新井白石は『東雅』においてこの樹脂の利用に由来する「漉し油」説を唱えたが、坂部幸太郎は「越油」、つまり越後国産の油という説を提唱し、寺田晃は台州(現在の浙江省)の日本名「越(こし)」の油、という説を提唱している。

◆画像◆


<転載、以上>
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コシアブラ(Eleutherococcus sciadophylloides)