<Wikipediaより、転載>

華道(かどう)とは植物のみや、植物を主にその他様々な材料を組み合わせて構成し、鑑賞する芸術である。「花道」とも表記し、またいけばな(生け花、活花、挿花)とも呼ばれる。 ただし華道という呼称は「いけばな」よりも求道的意味合いが強調されている。華道にはさまざまな流派があり、様式・技法は各流派によって異なる。
華道は日本発祥の芸術ではあるが、現代では国際的に拡がってきている。欧米のフラワーデザインは、3次元のどこから見ても統一したフォルムが感じられるように生けるとされる。華道の場合、鑑賞する見る方向を正面と定めている流派も多くあるが、3次元の空間を2次元で最大限に表す流派もある。また華道は色鮮やかな花だけでなく、枝ぶりや木の幹の形状、葉や苔となどすべてを花材とし鑑賞する点でも、海外のアレンジの概念とは一線を画している。

【歴史】

華道の起源は古代からのアニミズムの流れとして、採取した植物を住居などである空間にて再構成する行為に基づくという研究もある。植物は動物と異なり、切り落としても適切な処置すればある程度生命を維持することができる。こうした植物の特性に神秘を見たとも考えられる。それは常緑樹信仰にも通じ、人間の手の及ばない神秘の力を花器の上で包括的に管理してしまおうとする試みであるとも考えられる。
華道の発祥は仏教伝来に際し花を献じる供花に由来するという説が有力である。また、一輪挿しなどに挿した花を愛でる習慣は古くは平安時代あたりまで遡り、例えば『枕草子』などの文献史料からたどることができる。当初は既存の器を利用していたが、後に専用の花器が製作されるようになった。
華道の確立は室町時代中期、京都六角堂の僧侶によるものとされる。僧侶は代々池のほとりに居住していたことから「池坊(いけのぼう)」と呼ばれていた。そうした呼び名がのちに流派の名前となる。家元、宗家らによって江戸時代中期にかけて立花(たちばな、りっか; 「立華」とも書く)と呼ばれる型が大成されていった。 その後江戸中期から後期になると、華道はそれまでの上流階級・武家階級のものから広く庶民のたしなみへと変化し、生花(しょうか、せいか)を中心に広く愛さるようになった。
今日の華道と言えば、江戸時代後期文化文政の時代に流行した生花、挿花のことを指すことが多い。とくに江戸後期に大流行した曲生けと呼ばれた遠州流系では技巧の達人・名手が多く登場し、意匠を凝らした銅の花器や厳選された木材と職人技の塗り花台などとともに数寄者がこぞって花を生け、今もその意匠・デザインは引き継がれていることも多い。また関西では未生流系、東日本では古流系などの流派から多くの流派に分かれていくきっかけとなる。

江戸末期から明治初期の頃、世界的なジャポニスムにより華道・生け花が欧州に紹介され、ヨーロッパのフラワーデザインにラインアレンジメントの手法として影響を与えた。国内ではやがて花姿は時代の流れに即し、なげいれ花、盛り花(もりばな)などさまざまな型が編み出された。また異種花材として植物以外のあらゆる材料も「花材」として盛んに取り入れられている。


【花材取り合わせの考え方】

花の色や質感、季節を考慮して組み合わせる事を「花材の取り合わせ」という。流派によって細やかに定めを規定しているが、基本的には主材、配材に区分し、主材には夏ハぜなど「木もの」、配材には菊やハランなど「花もの」に加えて「葉もの」を充てる。しかし、いけばなでは季節感が重要で、夏ハゼは春から秋の三期に使うため季節を特定するのは難しい。また、菊やハランも現在では四季に出回る。そのため、この組み合わせでは春の作品なのか秋なのか、季節を感じさせない懸念が残る。ところが、夏ハゼに新芽の初々しい姿があれば春らしさが強調されるであろう。また、葉が紅葉していればおのずと秋らしく感じる。また、菊も春菊、夏菊、秋菊、寒菊と云うように四季感のある種類を使えば問題なく季節を思い起こさせる。このように季節を意識した視野で素材を捉えると、同じ花材でも訴える力は随分変わる。ただ、いけばなでは季節重視だけではなく、造型重視や色彩本位の構成があり、素材の組み合わせは作品のねらいやモチーフで異なる。このことから、自然調(和風趣向)と造型(現代花、洋風趣向)とに大分され、構成の仕方で取り合わせを考える。一方、流派の定める古典花(伝統花)は完成された伝承いけばなである。したがって素材の組み合わせだけでなく、いけ方、考え方には厳しく定めがあり、自由な解釈による創作は一般にはされない。

取り合わせパターン(一般には「一種」「二種」「三種」「四種」「五種」)

「一種いけ」 一種の素材でいけることを云い、その植物事態の魅力を余す事なく引き出す。柾、槙、杉などは枝葉の疎密に強弱を見出し、緑の濃淡に深い味わいを求める。花のある椿、さざんかなどの花はアクセント的に用いられる。桃、梅、桜などは「花木」と呼び、花と幹の表情を引き出す。「生花」様式では一種いけが多く見られる。

「二種いけ」 一種では物足りない時に他の素材をもう一種添える。あるいは、二種を組み合わせることの相互関係で生まれる連体美を求める。一般的には主材と配材の関係で、主材に枝もの、配材に花ものを組み合わせる。

「三種いけ」 考え方は二種いけ同様。主材に枝もの、配材に花もの二種、または葉もの。

「四種いけ」 かつては四の数字は嫌われたが、現在ではその数字にこだわらずあくまで美的要素の見地で判断される。
色彩を多く取り上げる今日のいけばなでは花や葉の種類も多く、四種〜六種使う事が一般となっている。葉もの二種を組み合わせる事もある。

素材の水揚げ法

水揚げ法は花材の日持ちをはかる上で重要かつ不可欠ないけばな心得の一つである。科学的根拠と云うより、先人の経験からの知識によって伝承されることが主である。蒸散作用の抑制から、風にあてない事も重要である。

主な手法は
「水切り」「注入法」「焼く、煮沸法」「砕く」「薬剤使用」「錫、胴の利用」などがある。植物の生態を利用した朝切り、夕切りなどは採取時間が最重視され水揚げは極度にあがる。
最近は温度と湿度を管理するストッカーを利用する生花業者が多いが、このような管理法は極端な言い方をすれば切り花を冬眠させているようなもので、一旦外に出すと日持ちは悪くなる。とくに夏場は外気温との温度差が広く、汗をかいたように花や葉に水滴が溜まり蒸せさせるため消費者としては歓迎されない設備と云える。

諸道具

いけばなに使う諸道具、用具類。

花器
材質は陶、竹、金属、木、藤、石、漆、ガラス、プラスチック、など。形は浅い水盤、横長、小判型、コンポート、壷、寸胴、創作器、

雑器、釣り花器、掛け器など。

剣山

花鋏
主に蔓手(つる手)、蕨手(わらび手)と称される2種類の花鋏が用いられる。

花台
敷板、卓台(これには白木作りと塗りものがある)。その他、プラスチック、ガラス、布など。

素材を固定する道具。1センチ程度の長さの釘が無数に埋め込まれたもので、鉛、アンチンなどを混ぜた重り部分から出来ている。長方形、円形があり、器の形に合った舟形など、多様。剣山が誕生するまでは七宝、亀の甲と呼ぶ鉄で作られた蜂の巣状の形をしたものや、鶴や御所車、カニなど飾り物留具が使われた。

その他
いけばな用の小型のこぎり、利休小刀、金槌、針金、水揚げ鉄砲、霧吹きなど。また大作ではジグソー、電動ドリル、溶接機、チェンソーなど多岐にわたる大小の道具類が使われる。

【華道の代表的流派】

(五十音順)

池坊(いけのぼう)開祖・池坊専慶が京都の六角堂池坊の僧侶だったことに因む>こちらから
いけばな京花傳(いけばなきょうかでん)
五十鈴古流(いすずこりゅう)
伊勢草木藤野流(いせそうもくふじのりゅう)
一葉式いけ花(いちようしきいけばな)>こちらから
小原流(おはらりゅう)>こちらから
御室流(おむろりゅう)御室御所「仁和寺」を家元とする流派
華頂流(かちょうりゅう)
桂古流(かつらこりゅう)桂宮家華務職を流祖とする流派>こちらから
華道瑩心流(かどうえいしんりゅう)
華道遠州(かどうえんしゅう)江戸後期のマルチアーティスト・茶人の小堀遠州を祖とする
華道表現派(かどうひょうげんは)
華道高野山(かどうこうやさん)
紀宮花山院流(きのみやかさのいんりゅう)
光風流(こうふうりゅう)
広山流(こうざんりゅう)
古流理恩会(こりゅうりおんかい)>こちらから
古流かたばみ会(こりゅうかたばみかい)>こちらから
古流松應会(こりゅうしょうおうかい)
古流松藤会(こりゅうしょうとうかい)>こちらから
嵯峨御流(さがごりゅう)嵯峨御所「大覚寺」を家元とする流派>こちらから
青山御流(せいざんごりゅう)公家の末裔、園家(伯爵)により相伝されている流派
正風華道 (せいふうかどう)盛花、千変万化を特徴とする流派
石州流華道(せきしゅうりゅうかどう)
専慶流(せんけいりゅう)
相阿弥流(そうあみりゅう)

草月会館 (東京・赤坂)
 
草月流(そうげつりゅう)>こちらから
月輪未生流(つきのわみしょうりゅう)皇室の菩提寺「泉涌寺」を家元とする流派 
日本生花司 松月堂古流(にほんせいかし しょうげつどうこりゅう)公家の末裔、植松家(子爵)により相伝されている流派
八代流(はちだいりゅう)室町幕府8代将軍足利義政を高祖とする流派
未生流(みしょうりゅう)>こちらから
未生流笹岡(みしょうりゅうささおか)
都古流(みやここりゅう)>こちらから
都未生流(みやこみしょうりゅう)
雅(みやび)流(みやびりゅう)
山村御流(やまむらごりゅう)山村御殿・圓照寺を家元とする流派
容真御流(ようしんごりゅう)
龍生派(りゅうせいは)>こちらから
日新流(にっしんりゅう)
光輝流(こうきりゅう)

【いけばなの代表的個人作家】

(五十音順)
芦田一寿
石川龍
石野田五十鈴
伊藤松永
大塚理司
大坪光泉
大吉昌山
尾中千草
粕谷明弘
柿崎順一
假屋崎省吾
川瀬敏郎
工藤和彦
栗崎昇
古作厚子
小島松影軒
小嶋慶樹
齋藤恵理
佐藤寿新
下田尚利
杉崎宗雲
州村衛香
州村円芳
千羽理芳
谷口雅邦
土屋宗良
長井理一
中川幸夫
早川尚洞
日向洋一
古川知泉
松田隆作
横地画抱
吉村華泉
吉村華洲

<転載、以上>

その他の流派

●日本古流>こちらから
●いけばな松風>こちらから
●いけばな雪舟流>こちらから
●千家古流>こちらから
●いけばな古流松濤会>
こちらから
●いけばな桑原専慶流>こちらから
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