学芸大学の子供、教育支援プロジェクトの概要をまとめています。

1)こども未来研究所「codomode」
>公式サイトは、こちらから。
*東京学芸大学の運営するNPOです。
子供教育の支援をする人材の育成制度、認証制度へとつなげているプロジェクトがあるようです。

その一つが「一般社団法人 教育支援人材認証協会」(こちらから、ご覧ください)の進めている「こどもパートナー」や「こども支援士」などの資格のようです。三市連携企画でも関連の講座を開講し、そうした資格の認証取得を推進しているようです。連携した講座のガイドは、こちらから、ご覧いただけます。

やはり、資格がないとこども教育の支援参加は難しいという話のようです。有料(8,000円程度)での講義受講を前提とした認証制度は、こうしたところにも存在しています。
もちろん、どんな講座なのかも知っておく必要があるかもしれません。教員補助には最低、こうした子供への対応知識が必要と先生の側が考えている内容レベルとその具体的な教え方(講義手法)を知っておくのも大切かもしれません。お金と時間の余裕があったら、試しに受講してみたいものです。


2)環境教育研究センター
>公式サイトはこちらから。

【環境教育研究センターの取組への感想】

<多摩川エコモーションについて>
多摩川の河川を核とした自然学習は、入口としては、子供の学習意欲を刺激する試みで面白く報告を見ることができました。ただ、自然としての要素だけでなく、人との歴史的な関わりなどへの発展も大学生の担当する学問領域を広くして、さらなる興味を喚起する機会とできたら、尚良かったように思います。その意味では、小学、中学、高等学校への発展的なプロジェクトにできたら、より大きな結果を見ることができたかもしれません。
プロジェクト自体も既に終了しており、プロジェクト予算の関連もあるでしょうか、継続的、発展的なプロジェクトにできたら、良かったように思います。
また、「環境=エコ」という既成概念でなく、「環境=自分の暮らす周りの全て」とすることで、「多摩川と一緒に暮らすこと」を考えられたら、尚、子どもの素直な疑問を引き出すために良かったのではないかと思いました。


同センターのプロジェクト:
学芸大生がひらく「多摩川エコモーション」>こちらから

<三市連携・環境教育実践フォーラム、環境教育リーダー養成講座について>
環境教育の実践報告とグループディスカッションが何回か続けて開催されたようですが、それらの報告書にも目を通してみました。環境関連のNPOや専門家、大学生による実践教育報告は、なるほど、こうした専門家の実践例が、現場の教師にとって役立つのかという感想はありましたが、どちらかというとこうした知識自体を現場の教師が持つ必要があるのではないかというのが実際の感想でした。それを生徒と一緒に学び、蓄積し、さらなる次年度や別な年代の学習材料づくりに向けていくべきなのではないかと思われます。

「環境教育」という言葉に捉えられ、その道「環境・生物・自然」の専門家に参加してもらうことに視点が固定され、その範囲を抜け出られていないために子供たちの素直な多くの疑問に答えられているのだろうかという不安が残りました。実践の中での子供たちの反応などの情報をもっと蓄積し、何が子供の興味を喚起するのかを知る試みが必要という気がします。環境という限定されたキーワードだけで子どもの疑問や学習意欲につながる契機とするのではなく、もっと自分の生活や暮らしなどとの関連の中で教える側と一緒の学びあいという現場づくりとなるような実践の方が必要という気がしました。

「理科、生物の専門家に聞く」などでなく、「その地域に暮らしていくための知恵を学ぶ」という視点が不足しているように感じられました。

ますます、教師や保護者、大学生などの郷土教育の必要性が感じられたというところです。
もっとも強い感想は、環境(=エコ)を教えるなら、助成や補助金が得られるから、環境教育としましたという学校側の本音が見えたというところです。


<三市連携IT活用コンソーシアムの展開>

●同コンソーシアムの公式サイトは、こちらから、ご覧いただけます。

実際に活用可能なコンテンツとして、「わかる・授業」というコンテンツ事例データベースがこちらです。

◆残念ながら、事例は、作成した時期の問題もあり、資料がWEBを参照している場合など、アドレスが古いため、リンク先が無かったりする場合が多く見られます。是非、更新修正しておいてほしいものです。


3)学芸の森
>公式サイトは、こちらから。
*東京学芸大学の推進してきた環境教育「自然と共存していく人間の知恵を育む」をテーマに学芸大学構内の植栽(森)を核とした環境報告のプロジェクトです。

<本サイトからの視点>
●公式サイトにある構内の植生(樹木に限ります)を詳細に表したイラストマップなどや広葉樹林地域の再生などの活動は、小中学校にとっても一部利用可能な学習コンテンツとなりそうですが、こうしたプロジェクト活動の成果や情報は、毎年作成される環境報告書以外に蓄積され(環境報告書以外に学内の学生用や附属小中学校などの学習指導資料として)、準備されているのでしょうか?

●定期的に機構内での会議が行われ、「環境フォーラム」などの実施計画も討議されているようなのですが、外部には一切その詳細は、不明です。

●学芸の森に関連した以下の「公開講座」のようなものが、行われる場合のみ、一般が知りうるのみのようです。あくまで、基本は、学内で学生を対象としたプロジェクトなのでしょう。もちろん、以下にご紹介する社会教育として、外部の参加可能な公開講座も実施されているようですが、全体像が公開されているのではなく、随時、公開講座などの形で外部に情報提供がなされるようです。


【公開講座例】

A)【学芸の森を活用した公開講座の事例】(平成26年度)

学芸の森を散策して学ぶ緑と生け花 Ver.5 −春−

【講座内容】<以下の開催情報は、学芸大学公開講座のサイトより、転載>

東京学芸大学の緑の楽園は,発見と学びの宝庫です。本学はかねてより環境教育に力をいれてきており、学内の身近な自然環境に積極的に触れることを通じて,多くの成果をあげてきました。その成果を生かし,学芸の森を教材にして,地域の市民と定期的に学習し,自然と親しんでゆく講座です。

・学内教員等による講義の後、学芸大キャンパス内を散策し,自然とのふれあいを楽しむことを目的とします。
・10万坪の広大な敷地には春夏秋冬の緑を充分に楽しむことにことかきません。春は,河津桜・ソメイヨシノ・枝垂れ桜・八重桜・里桜・御衣黄等々たくさんの桜に始まり,6月の姫シャラの季節までたくさんの花が咲いています。
・自然とのふれあいを生け花等で表現してみましょう!
・日本の歴史や文化にもふれつつ、華道文化を中心軸に、生け花の基礎から応用まで学びながら、体験を通して「和」と「美」の精神を修得します。
・今年度は、希望に応じて、ご自身でご用意いただいたお花との組み合わせにもチャレンジします。

【受講生への連絡事項】

・体験的活動をとりいれた講座ですので,軽装でお越しください。
・毎回の前半を緑の散策,後半を生け花にいたします。
・ 鋏,剣山,花器,花包みなどがあればお持ちください。
・ 今年度はご自宅や生花店のお花をお持ち込みいただくことも歓迎します。
・ 別途教材費を徴収する場合があります。その際は予めお知らせいたします。
・大学内サークル活動と合同活動になる場合もあります。

●講座スケジュール●


第一回>5月13日(火)13:00〜16:00

◆講座内容◆
オリエンテーション・自己紹介
講義・学内散策・採集と生け花

◆講師◆
前田 稔(本学講師)
鷲山 恭彦(本学前学長)
蜂谷 文子(本学元職員・華道家 日本生け花芸術協会会員)

第二回>6月10日(火)13:00〜16:00

◆講義内容◆
講義・学内散策・採集と生け花

◆講師◆
前田 稔/鷲山 恭彦/蜂谷 文子

第三回>7月 8日(火)13:00〜16:00

◆講義内容◆
講義・学内散策・採集と生け花

◆講師◆
前田 稔/鷲山 恭彦/蜂谷 文子

実際に学内で咲いている季節の花を利用しての、生け花教室は、興味深い試みでもありますが、この内容も参加者のみが解るだけで、その実施概要や報告はどこにも掲載されていないようです。どのように「学芸の森」や環境教育と連携しているのでしょう?

【「学校の森」に至る大学構内植栽の変遷】

B)学芸の森の以前の植栽計画を知る:【東京学芸大学創立60周年記念「60種植樹計画」とは】


以下に創立60周年記念での植樹(準備として、平成18と19年に植樹。60周年だから、60種という環境、植生を無視した発想?)の内容をご紹介します。この内容と上記の学芸の森の植生概要を比較すると学芸大学のそれ以前と現状での樹木管理の実態が良くわかってくると思います。

◆以下、植樹概要◆

<60周年記念植樹>

東京学芸大学小金井キャンパスには約4500本の中高木が存在し、その種数は200数十を数えます。しかし、この30年間で40種ほどの樹木が枯死あるいは著しい衰弱を見せています。

東京学芸大学は2009年に創立60周年を迎えます。本プロジェクトはこれを契機に学内に樹木60種を植え、大学内の植物多様性を豊かにすることを目標としています。平成18年度より徐々に植樹をおこなっていきます。

大学構内への記念樹植樹や献木をお考えの方は、是非ご相談ください。皆さまのご協力とご理解をお願いいたします。


<平成18年度植樹は、、平成19年度植樹は、黒>

1)イチイ:プール北東角地
2)カマツカ:総合グランド体育倉庫南(東)→枯死
3)ヒイラギ:舞踏場東
4)トチノキ:舞踊場東
5)アオダモ:舞踊場東
6)モクレン:総合グラウンド南(西)
7)ボダイジュ:人文社会科学系研究棟4号館北
8)ザイフリボク:人文社会科学系研究棟4号館南(東)
9)セイヨウサンザシ:人文社会科学系研究棟4号館南
10)イヌシデ:人文社会科学系研究棟4号館南(西)
11)ネジキ:総合教育科学系研究棟2号館北
12)バイカウツギ:サンシャイン中庭
13)マユミ:万葉池北
14)ヌルデ:万葉池北
15)ネムノキ:万葉池南
16)センダン:万葉池北
17)ウツギ:万葉池南
18)ムラサキシキブ:万葉池南
19)コウヤマキ:S棟南東角
20)クロモジ:ボイラー室南西
21)ソヨゴ:N棟北東
22)ゴンズイ:S棟南(東)
23)ニシキギ:S棟南(東)
24)シモツケ:S棟南(西)
25)ホオベニエニシダ:S棟南(西)
26)ヒトツバタゴ:S棟南
27)ズミ:芸術スポーツ科学系研究棟2号館南
28)ロウバイ:芸術スポーツ科学系研究棟2号館南西角
29)イボタノキ:20周年記念飯島会館西
30)ウグイスカグラ:万葉池北
31)ハナイカダ(雄・雌):保健管理センター西
32)ハクチョウゲ:サンシャイン中庭
33)ミツマタ:小体育館西
34)ユスラウメ:保健管理センター西
35)メギ:人文社会科学系研究棟4号館南
36)カラタチ:万葉池北
37)ユキヤナギ:人文社会科学系研究棟4号館南

38)サワフタギ:吉田水辺公園渓流脇
39)ウメモドキ:舞踏場東花壇
40)コシアブラ:舞踏場東花壇
41)ハゼノキ:舞踏場東花壇
42)サンザシ:舞踏場東花壇
43)ナギ:S棟南東角
44)モモイロユキヤナギ:S棟南
45)コデマリ:グラウンド西
46)ムクゲ:美術棟東
47)メグスリノキ:人文社会科学系研究棟4号館南西
48)ビナンカズラ:人文社会科学系研究棟4号館南東
49)ニシキウツギ:人文社会科学系研究棟4号館南東
50)ヤマウコギ:万葉池西
51)オトコヨウゾメ:万葉池西
52)チャ:サンシャイン中庭
53)キンシバイ:総合メディア教育館南
54)シンジュ:家庭科研究棟東
55)ギンヨウアカシア:家庭科研究棟南東
56)ゴマキ:家庭科研究棟南東
57)イチジク:家庭科研究棟南
58)シデコブシ:自然科学系研究棟1号館南西
59)クサギ:自然科学系研究棟1号館南西
60)リョウブ:図書館東
61)ユズ:図書館東
62)ニワウメ:20周年記念飯島同窓会館南
63)ヤブムラサキ:芸術スポーツ系研究棟2号館南


◆実際には、2007年に学芸大学構内の植樹などの勉強会もおこなわれたようです。学芸の森プロジェクト(旧サイト)より、以下に転載。


<転載部分>

勉強会 『学芸の森の植栽』
 
2007年1月12日、三上常夫さんを講師に迎え、勉強会を開催しました。三上さんは日本植木協会による優秀技能認定者で、植木に関する著書も多数執筆されています。樹木の育ち方と特徴を生かす植栽と管理について2時間余りお話をしていただきました。


<転載、以上>

具体的な講義内容のPDFファイルもこちらからご覧いただけます。旧学芸の森プロジェクトのサイトは、こちらからご覧いただけます。

「グリーンアドベンチャー」の設置

学芸の森プロジェクト活動の一つとして、公益社団法人青少年交友協会で展開している「グリーンアドベンチャー」があります。学芸大学小金井キャンパスでもこの仕組みが展開され、実施されました。その後の同協会との連携や発展の無いまま、植栽の移植や枯れ死などで一部の修正を余儀なくされていますが、基本的なシステムはそのままです。

*グリーンアドベンチャーの仕組みについては、こちらの青少年交友協会のサイトをご覧ください。学芸大学の教授としては、杉森教授が同協会の理事をされており、その連携は杉森氏を通じて可能となるはずです。

<本サイトからの視点>
こうした以前からの学内の植栽計画の成果や課題が「学芸の森プロジェクト」以降は、実を結んで、新たな段階に到達したり、発展しているのでしょうか?是非、知りたいものです。

最新の「学芸の森」の公式サイトでは、詳細な報告や成果は、外部の人間には見ることができないようです。ある意味では、地域との連携を図る目的のプロジェクトではないのかもしれません。

あくまで学内の大学生教育という範囲でのプロジェクトでその一部が外部に社会教育的な展開として、公開講座化されているだけのようです。残念です。もちろん、こうした内容も公式サイトに掲載されるのでなく、環境教育や地域連携として、実施されているようで、検索しないと見つけられないようです。



【「学芸の森」の発展的な展開例】

C)【学芸の森・私の植物(by 真山茂樹教授)】

学芸の森のプロジェクト機構長の前田稔教授を訪問し、学芸の森プリジェクト中に植物・花のガイド(生育エリアマップあり)があることを知りました。真山教授は、生物学の教授とのこと。非常に便利でフィールドワークにも活用できるしっかりしたものです。

こちらから、ご覧いただけます。携帯電話でもアクセス可能です。

大変意欲的な試みで関心します。

課題は、

1)MAPからの植物の品種ガイドが、「葉」の標本で、直接的な植物の情報にリンクしていない点と植物の花の画像や情報は、印刷物のマップでは、QRコードを読み込んで、リンクできるものの、その場所に行くと、実際のそれらの植物を確認できることが少なく、その後の整備や花壇や植え込みの改修詳細やそれぞれの植物の時期ごとの開花などの情報提供がなされていない点です。

2)また、サイトのマップのエリア表示の間違いや、エリア表示はあるものの、実際の植物ガイドが未調査のため、全くないエリア(特に、教育プログラムで利用したい附属小中学校のエリアなどが未調査)がある点です。

その意味では、さらなるの定期的なフィールド調査と植物ガイドの充実が必要なことが実感されます。
一応、本サイトでは、花や樹の品種が解っているものとエリアの情報については、補完する情報ページを用意しました。順次、整備していくつもりです。



D)【学芸の森・学生による園芸・植栽活動計画】

大学生参加による構内植栽整備を推進するために、前田教授や蜂谷元職員(華道家)による園芸華道部が設立され、学生による植栽整備や園芸活動の核づくりが進められています。

<本サイトの視点>
実際には、中々学生の「学芸の森」への積極的な参加
意欲や意識が高まらず、まだまだ、十分には、プロジェクトとして機能していないようですが、毎年環境報告書は刊行されており、その内容からは、徐々に進んではいるようです。今後の展開に期待したいところです。(2014/11/19)
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