トップ  >  小中学校への郷土教育としての植木・園芸文化教育  >  モデルプロジェクトについて  >  東京学芸大学附属小金井小中学校、幼稚園での展開へ  >  「総合的な学習」へのアプローチ:その1「特定植物種をモチ−フに展開する」学芸大学附属小金井小中学校モデル例
小中学校の新指導要領での「総合的な学習」と「コミュニティスクール」こそ、その教える学校ならではの展開と知恵を発揮できる学科や試みとなるような気がします。

このサイトでの「園芸文化」「江戸園芸文化」は、こうした時間をより効果的に設計できる素材なのではないかと思います。
というよりは、その重要な鍵となるのではないかと考えています。

学問は、その深い部分と現実の社会という表の部分でつながっていることを「総合的な学習」で学ぶことになり、園芸を通じて、その学習を実現できるからです。

以下にその要素をご紹介しましょう。具体的には、東京学芸大学附属小金井小学校を例として、説明していきます。

第一弾
「入口、きっかけをつくる」

まずは、対象とする「花」を選びます。東京学芸大学附属小中学校の場合は、ナデシコ、撫子でしょう。学校の校花であり、江戸園芸で知られるナデシコは、身近な花の筈です。多分、校庭でも栽培されていると思われます。


まずは、本サイトにもある花研究のように、その花の背景(西洋、アジア、日本という風土での存在)を調べることから始まります。
題して、世界とナデシコ

学名検索、英語表現、古典への登場などその項目は幾らでも広げられるのですが、ここでは、学名の基本や植物学の品種についての基礎にとどめ、
基本の流れは、西洋での「ダイアンサス」から、中国での「瞿麦」、日本文化での秋の七草としてのナデシコを紹介(生徒自身が調べて、学習)していきます。参考となる本サイトのコンテンツは、花研究の中にあるナデシコ研究のコーナーです。

そして、その集大成として、中尾佐助氏の著作「花と木の文化史」に至るようにします。この本については、こちらから、ご覧いただけます。
第一弾は、ここで終了します。

第二弾は、
世界の園芸センター:江戸園芸の誕生
です。
当然、豊島区染井、小日向の登場が予想されます。江戸の歴史学習から、豊島の植木(豊島小学校も無縁ではありません)に関心を向け
て行きます。(是非、同窓会でも支援して、郊外学習などへとつなげられれば良いでしょう)

しかも、江戸園芸の実例は。実は現在の染井には無く、埼玉県では、植木の里といわれる染井より多くの植木業者が移住した安行や盆栽博物館のある大宮など。都下の多摩地域には、多くの植木農家が生まれました。このように、明治から昭和へと広がった東京圏の周辺へと植木、園芸文化の中心が移動していきました。

小金井の周辺では、

1)モミジ、カエデは、世界的に有数の育成業者として知られている国分寺の司メープルがあり、
2)桜草は、小平のさくらそう会(日本で最も古く会員の多い桜草愛好家の団体)会長の鳥居氏(元神代植物園園長)の桜草栽培の庭、その他多くの会員の庭もあります。
3)植木の卸組合や多くの園芸施設(植物園や公園)などが、

多摩地域の武蔵小金井の近郊で見ることができるのです。

もちろん、染井の植木屋が移っていった埼玉の安行を訪ねることもよいでしょう。できれば、花の里として自治体も力を入れている深谷市や埼玉県の隅田川沿いの桜草関連施設(原生種の残る天然記念物のエリアや栽培場)などは、桜草の開花時期(4〜5月)に合わせられることが良いでしょう。

また、撫子の花合わせの会が当時、江戸の小日向で開催されたという点から、附属竹早小中学校の近郊の小日向エリアの文化研究も連携していくことも可能になるかもしれません。

>詳細は、ナデシコ研究のカテゴリーにあるこちらのコンテンツをご覧ください。

5月には、千葉県佐倉市にある「国立民俗博物館 くらしの植物園」では、江戸園芸品種・伊勢ナデシコの展示もあります。タイミングがあえば、訪問するのも良い機会になります。(2013年は、16日から31日までの期間展示されています)


高等学校なら、その先には、

第三弾
生物多様性、環境保護から植物の遺伝学まで
という展開もあります。もちろん、中学校で早いということもありません。
生物学、植物学の分野では、染色体と遺伝、生物共生というテーマで東京大学の鷲谷いづみ教授研究室の支援を受けて、なぜ、こうした品種が多様な変化を遂げ、品種数を増やしていくのか?その品種が絶滅危惧種となるのかなどをも学習することができます。参考例は、こちらのの小学校の副教材の関連頁からもご覧いただけます。


第四弾
海外へのプレゼンテーションという目標をつくる
さらに、桜草(プリムラ)、ナデシコ(ダイアンサス)も海外での育種をすすめる愛好団体があり、毎年展覧会や会議(カリフォルニアで毎年開催される世界プリムラ会議などがそれです)を開いています。こうした品種の栽培を学校でも行い、その成果をもって、海外にアプローチし、会議参加をするという壮大な目標を掲げて、より高い目標へ導くことも夢ではありません。
現在、高年齢化という問題を抱える各園芸団体に小中学生が参加協力することも考えてみてはいかがでしょう。
その上で語学学習も兼ねて、同窓会の支援や援助も受けて、日本の園芸文化をその子供たちの手で海外へ紹介する活動へと発展させることも可能ではないでしょうか。

お茶やお花のクラブ活動などをより学習として、歴史や文化理解へと進めるのにもきっと役立つ筈です。
あくまで、この章での提案は、「総合学習への鍵」という点です。具体的には、コミュニティスクールなどという地域との連携なども充分に考えられるはずです。

先ずは、園芸文化学を入口に始められる環境を整えていきたいものです。

<この項、了>
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