トップ  >  花研究  >  「品種別」研究  >  「カ行」の科  >  「桔梗(ききょう)」研究  >  風土区分:日本  >  「生花」:(小原流)での「キキョウ」の評価と活用
「生花」で使われてきた「花」としての「キキョウ、桔梗」は、歴史的にどのように評価され、生花の歴史上にどのような資料や文献に登場してくるのでしょう。

先ずは、小原流で編集している「いけばな植物事典」で現在の桔梗についての解説を見てみましょう。

基本解説は、本サイトの概念などとほとんど変わらないか、共通した内容がほとんどです。
本サイトでは、これらの内容から、生花に関わる部分を取り上げて、ご紹介します。

まず、
「ききょうの種類は、多くあるが、花材として良く使われるのは、次の通りである」として、2つの品種を上げています。
●さわぎきょう(沢桔梗、学名=Lobelia sessilifolia)
●トルコききょう(土耳古桔梗、英名=Prairie Gentian)

生花に関わる主な「花材としての評価や扱い方」などを以下に転載して、ご覧に入れます。

<以下、転載部分>

【花材の扱い方】
ききょうは、夏の花材として、また秋の花材として用いることが多い。瓶花の根締めに使うとか、色彩盛花の中間・客枝に用いるほか、写景挿花様式本位では、遠景・中景・近景それぞれに、花の長短を選んで使うようにしている。

ふつうの盛花・瓶花に取り上げる場合は、栽培されたものでも、そのまま使うが、写景挿花や自然が連想されるような瓶花の場合は、野生の一〜二輪しか花のつかないものを使うようにする。栽培種であれば、花や蕾がついているので、側枝を剪み取り、野生のききょうのような出生感を出すようにしなければならない。

トルコききょうは、可憐な花であり、紫の美しいものであるから、色彩挿花写実本位の中間枝に使うが、茎が柔らかく細いので、主材に用いる花ではない。こういう種類のものは、洋種の花と組み合わせるべきで、和種とは出会いが悪いものである。

さわぎきょうは、ふつうのききょうと別な花の感じがするが、やはり色彩挿花写実本位の盛花・瓶花にあしらいとして使う。これは、花の感じがリアトリスに似ているから、基準より長く使って、葉の部分も充分に見せるような扱いをしないと、出生感を失ってしまって、おもしろくない。たまに写景挿花様式本位に、あしらいとして使うこともある。いずれにしても、直上性のものであるから、傾斜させて使ってはならない。

<転載、以上>

【キキョウ以外のサワギキョウ、トルコキキョウが推奨される理由】
このに品種がキキョウでなく、キキョウ属の一品種であることは知られていますが、実際に切り花や鉢物として入手しやすい品種であり、姿も似通っているということで取り上げられているのでしょう。自分の庭で「キキョウ」を育てて使うことのできる人は限られているから、致し方ないのでしょう。

もちろん、この事典で解説している桔梗の品種やいけばなでの扱い方は、小原流に限られている扱い方かもしれません。別な章では、他の生け花の文献(「いけばな常用花材図鑑(主婦の友社)」「現代 いけばな花材事典 勅使河原 宏、大場 秀章、清水 晶子著」など)での「桔梗」も取り上げていくつもりです。
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