<「イー薬草ドットコム」より、転載>

薬効

滋養強壮
頭痛(ずつう)
しもやけ
ひび・あかぎれ
産前産後
冷え症

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)

分布生育場所

科名:セリ科/属名:シシウド属
和名:当帰/生薬名:当帰(とうき)/学名:Angelica acutiloba
本州の山地の岩場、がけ、岩れき地で自生・また薬用植物として各地で栽培

見分け方・特徴

全草に特異な甘い芳香があり、茎は直立して高さが50〜80センチになる大型の多年草草本で、茎と葉柄(ようへい)は赤紫色を帯びていて、葉は3つに分かれていて、セリの葉に似ています。
葉柄の基部は鞘(さや)となって茎を抱き、小葉は広い皮針形で縁にギザギザがあって表面は暗緑色で光沢があります。主根があり太く多くの枝根を出しています。
8〜9月ころに花茎を出して多数の小白花をから傘状(複散形花序)につけます。
果実は長さ5〜6ミリの長楕円形です。

採集と調整

11〜12月の葉が黄変したころに掘り取った根の土を落として数株づつ束ねて天日で乾燥させます。
約1ヶ月ほどつるして半乾きにしたものを約40〜45度くらいの温湯に5分間ほど浸して、土を落として柔らかになったものを形を整えて翌春まで日陰につるして乾燥させます。
このようにして調製したものを生薬の当帰(とうき)といいます。
芳香と強い辛味および甘味のあるものが良品とされていますが、非常に虫がつきやすいので注意が必要になります。

薬効・用い方

漢方では婦人病の主薬であり、鎮静、鎮痛、強壮薬として妊婦のむくみ、腹痛、月経痛などに当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)などに配合されていて婦人産後の要薬でもあり、鎮静通経の効き目があります。

手、足を暖める作用が強いので、冷え性、血色の悪いもの、血行障害、頭痛、貧血などに広く応用されています。
また、トウキは1日量10グラムを1リットル程度の水で、半量に煎じて3回食前・食間に服用します。
または、適量を煎じて飲用。補血、強壮、浄血、鎮静、便秘などには乾燥した根を、粉末にして1回量1〜2グラムを服用。
塗布:葉10グラムを0.2リットルで半量に煎じて、しもやけ・ひびなどに塗布。

葉・茎に芳香があり、乾燥して刻み浴槽にいれて浴湯薬に利用します。鎮静・冷え性・しもやけ・婦人病に効果があるとされます。

その他

栽培:栽培は、3〜4月に苗床に種子を蒔き、翌春3〜4月に本畑に移植して秋に収穫します。

トウキ酒:10月ころに採取した果実を用います。果実の4,5倍量のホワイトリカーに漬けて、砂糖を果実の3分の1程度をいれて、1〜2ヶ月後に飲用します。淡黄色で特有の芳香があります。体を温めて血行をよくして、便秘に効き目があります。
下痢ぎみの人はあまり飲まない方が良いでしょう。
また、生薬の当帰(とうき)も同様にトウキ酒として用います。

中国には、このような話があります。
妻が婦人病になったために、夫は家に帰らなくなり妻から離れていきました。
妻は早く病を治さねばと思い、トウキ薬草を飲んだところ、たちまち病は全快しました。そこで、妻は「夫よ、まさに我がもとに帰るべし」といったということです。ここからこの名前がついたといわれます。
当帰(とうき)は、病人に与えると回復して健康に帰る「当に帰る」との意味がぴったりになります。婦人産後の重要な薬草で、各地で栽培されています。

<転載、以上>
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トウキ・当帰(Angelica acutiloba)