二月の茶事に最適な花を調べていきます。

参考文献:
1)「茶花ハンドブック(加藤淡斎著)」<以下、「淡斎」と記述>
2)「新版 茶花大事典(下巻)」(塚本洋太郎監修 淡交社刊)<以下、「大事典・下巻」と記述>
3)「庭で育てる茶花の図鑑 風炉編」(岡崎誠、木崎信男指導、世界文化社刊、2004年)<以下、「庭で育てる茶花 風炉編」と記述>
4)「秋の茶花 茶花の手帖:4」(世界文化社刊、1999年)<以下、「秋の茶花」と記述>
5)「茶花栽培入門」(藤井一男著、淡交社刊行)
6)「茶花の図鑑 炉編」(世界文化社刊行)

鶯神楽(スイカズラ科・ウグイスガグラ)

●「淡斎」日当たりの良い場所に、2月頃丁度鶯がさせずっているような可憐な唇のような花をつける。一名、山ぐみともいう。加茂本阿弥椿などの白椿を入れるとよい。
●「茶花栽培入門」

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寒芍薬(別名:クリスマスローズ)(キンポウゲ科・カンシャクヤク)
●「淡斎」ヨーロッパのアルプス付近でクリスマスの頃から真冬にかけて咲くのでこの名がある。白色やピンク、紫色の花をつける。椿の根締めに入れてもよい。
●「茶花栽培入門」

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節分草(キンポウゲ科・セツブンソウ)
●「淡斎」日本の中部や西部に寄った山裾の半陰地にみられる、多年草。3〜4月頃白色の花をつける。春、寒さをしのいで芽を出し、節分の頃開花するのでこの名がある。短い花なので根締めに入れるとよい。
●「茶花栽培入門」

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雪割一華・瑠璃一華(キンポウゲ科・ユイワリイチゲ・ルリイチゲ)
●「淡斎」関西地方の山すろの林下や竹藪の中で群生する多年草本。11月には新芽を出し、冬を越す。雪の中で既に芽でるから雪割市華。また、花の色に基づいて、瑠璃一華。花は日が当たると開き、上部はやや白色。下部は、淡紫色を帯びている。炉の花として、一種入れがよい。

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冬の花蕨(ハナヤスリ科・フユノハナワラビ)
●「淡斎」冬に新葉を生じ、その上に一見して花に見える胞子葉を別に生ずるのでこの名がある。林のへりや原野のやや湿り気あるところに生える。茶花としては一種入れがよい。

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富貴草(ツゲ科・フッキソウ)
●「淡斎」山地の樹の下に生える多年草。春から夏にかけて、茎の先に直立した花序がつき、まばらに分枝する。雄花は密につき、花糸が白くて大きい見事な花である。常緑の葉をこんもり茂る状態から、繁殖を祝う意味で名がついた。

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山茱臾(ミズキ科・サンシュユ)
●「淡斎」マンサクと共に春に先駆けて葉の出る前に散形花序を出し、四弁の小さい黄色の花をつける。漢名の音読みより名がついた。秋には赤く実を熟するが、その様子から、秋珊瑚ともいう。茶花としては枝の整理をよくし、根締めに紅白いずれの椿でもよい。

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黄梅(モクセイ科・オウバイ)
●「淡斎」黄色い花を梅になぞらえていう。漢名迎春花ともいう。枝は緑色で垂れやすく、地に着くと根をおろし、芽を出す性質がある。掛花入、釣花などに入れるとよい。

>品種詳細は、花研究の梅のカテゴリーであるこちらをご覧ください。


油瀝青(クスノキ科・アブラチャン)
●「淡斎」果実や樹皮に油が多く、よく燃焼することから油と瀝青を合わせて名とした。同じころに咲く檀香梅は、黄色の花をつけるが、こちらは青みを帯びていることから、名がついたのであろうか。早春、小さい花が葉をひらくよりも先につける。枝が多く、葉が密生する落葉低木。山地に生える。

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総桜=山桑、谷桑(フサザクラ科・フサザクラ=ヤマグワ、タニグワ)
●「淡斎」総桜は花の様子から名がついた。谷桑は葉の形が桑のようであるからである。山中の湿り気の多い所を好んで生える。
1〜2月頃、ふくらんだ蕾と椿を合わせていれるとよい。
●「茶花の図鑑」花弁のない「しべ」だけの花が総(房)のように見えるところから総桜という。山地の谷あいに生える木で葉の形がクワに似ているから谷桑とも呼ばれる。高さは、10メートル内外に達する。葉は花の後からでる。
早くは開炉の11月に芽だしを用い、そのあとの蕾時になかなか風情がある。葉がないので、葉のある花を根締めに用いるとよい。

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州浜草(キンポウゲ科・スハマソウ)
●「淡斎」葉の形が島台の州浜に似ていることからこの名がある。早春に花を咲かせる。太平洋側のものは白花または白花に近いもの多く、日本海側では色の変化がない。
花が小さいので、椿の足元に入れるとよい。

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万作(マンサク科・マンサク)
●「茶花の図鑑」満作とも書く。各地の山地でこの木が枝いっぱいに花を咲かせるからである。早春、「まずさく」が転訛して万作になったとする説もある。葉よりも先に花が一つあるいはかたまってつく。少しねじれた細長い花弁は長さ1センチから2センチぐらい。前年の実が花といっしょについていることもある。
葉のない花なので、椿類を根締めに用いて活けるとよい。

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<この項、続く>
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