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「桜草名寄控」に見る“獅子”といった表現の品種は、以下の7種。このうち、現在でもその品種を見ることのできるのは、獅子ヶ谷を除いた6種。

●獅子ヶ谷:ししがたに
●機嫌獅子:きげんじし
●狂獅子:くるいじし
●白髪獅子:しらがじし
●唐獅子:からじし
●勇獅子:いさみじし
●九十九獅子:つくもじし

「獅子」という表現は、命名された品種を見ると、花の「弁」が「かがり弁」で獅子の鬣のようであることから来ているようです。

現在では、「**かがり」といった名前の品種が多いのですが、当時は、こうした表現は少なく、「かがり弁」といった区分もあったかどうかはわかっていません。
「かがり」という表現は、「かがり火」の燃えるような炎のようなという意味合いと考えられます。
現在の品種には、この他に「獅子頭」「獅子奮迅」「牡丹獅子」などの品種が認定品種として存在しています。認定品種以外では、「浮かれ獅子」などがあります。

桜草以外の花の園芸種に「獅子」の名称のものは、数多く見ることができます。歴史的に見て桜草より古くからある「椿」や「菊」の園芸品種や桜草と同時代に流行した「萬年青・オモト」にも獅子の名称は多く使われています。この場合も以下の写真のように獅子の鬣をイメージする姿の品種が命名されています。

■他の花の園芸品種にみる「獅子」
菊:伊勢菊・獅子遊び
伊勢地方で発達したもので、嵯峨菊から変化してできたものと言われています。中輪を伊勢菊、大輪を松阪菊と呼んでいたようですが、いつの間にか全体が伊勢菊と呼ばれるようになります。
咲きはじめは嵯峨菊に似ていますが、花弁が垂れ下がるのが特徴です。写真のように細かく獅子の鬣のように垂れ下がる咲き方は、「獅子遊び」と呼ばれています。

椿:紅荒獅子


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