【第一回講習セミナー報告】

●日時:2015年12月17日(木曜)15:00〜17:00
●場所:学芸大学正門並木道エリア内
●講師:新井幸次郎(樹木医)

1)冬期の「正門並木の主要樹種」基本の管理、剪定講習<校門前より、連雀通りに向かって順に樹木管理、剪定を実地講習>

◆剪定講習1:キンメツゲとロウバイ

●イヌツゲ(キンメツゲ)

<校門前の西側通路のキンメツゲ>


<新井氏談>
イヌツゲの中でも金芽ツゲ(Ilex crenata ‘Kinnmetsuge')と呼ばれる、幾分葉の小さな品種で、刈り込んで、その樹形を時間をかけて、少しずつ整え、色々な造形(トピアリー)を楽しめる樹種で、ディズニーランドなどにも動物の形をした樹木があると思いますが、それがこの品種です。冬には刈り込まず、春から秋にかけて、形を整えるように剪定するので、冬は剪定の必要は無い。


<正門脇のキンメツゲ>


◆樹木講習1:キンメツゲ

この講習では、剪定のみでなく、このキンメツゲという樹種の特徴やその日本における文化と背景も学習していきます。

【品種の基本学習】


*この品種の本サイトでの解説は、キンメツゲの育て方は、こちらを
イヌツゲの育て方は、
こちらをご覧ください。


キンメツゲは、並木道の植栽を囲むようにかなりの範囲を占めています。植栽の周囲で全体が四角く、植栽エリアを囲む枠のような形で刈り込まれています。
新井氏の指導にもあるように今回の冬の剪定では、枯れ枝除去程度の剪定で春のキンメツゲ独特の新芽の彩りを愉しんだ上で、今後の剪定方針を定め、春以降に剪定を進めていく予定です。



【日本における文化を学ぶ】


*トピアリーについては、以下のWikipediaからの転載した簡単な説明をご覧ください。

<Wikipediaより、転載>

トピアリー (topiary)は、樹木や低木を刈り込んで作成される造形物。動物をかたどったり、立体的な幾何学模様を造る。針金などの枠型に草花やアイビーなどのつる植物などを這わせて作成されたオブジェを含める場合もある。

歴史

ヨーロッパにおけるトピアリーの歴史は、古代ローマ時代までさかのぼり、プリニウスの『博物誌』の中に記述を見ることができる。奴隷の庭師が、生垣に主人と自分のイニシャルを刈り込んだのが最初といわれている。
トピアリーの技法が普及したのは16世紀以降のヨーロッパと考えられている。円錐や球体の幾何学的な形に樹木を刈り込んだトピアリーが王宮や貴族の館で流行した。

日本トピアリー協会の公式サイトは、こちら



<転載、以上>

●ロウバイ(ソシンロウバイ)

<校門前の西側、東両通路の冬のソシンロウバイ>



<新井氏談>
ロウバイにもいくつかの種類があります。花がつけば、解るのですが、ロウバイは、黄色花の真ん中が赤く、ソシンロウバイは、真ん中も黄色い品種です。この品種は、株立ちという根元から、何本もの幹が出てくる樹木で、その年に出た株に花芽が付きますが、勢いよく伸びた枝や、間延びした長い枝(徒長枝)にはほとんど花芽を付けずに、枝や幹の基部に付く短い枝に花芽を付ける性質があります。
基本の剪定は、こうした枝や古い株、ひこばえした株を剪定します。古い株は、幾分幹の色が濃くなってわかるので、そうした古い株を剪定し、三本(奇数)程度、新しい株を残します。さらに、内側に延びる「ふところ枝」と呼ばれる短い枝は、刈っておきます。冬の今、刈りすぎると花芽が楽しめなくなる可能性があるので、本来的には、花後か、落葉後すぐに剪定するのが良いでしょう。


<根元の株別れを見て、古い枝を特定する>


また、株の根元に細かい傷が、見られますが、多分刈り払い機で雑草を刈る際についた傷のようです。こうした傷を避けるためにも株の周辺の除草は、手作業で行って、株の近くを刈り払い機で除草しないようにする工夫が必要でしょう。

<刈払い機のワイヤーで傷ついたキンメツゲの根元>


*この品種の本サイトでの解説は、こちらから。また、ロウバイの育て方は、こちらをご覧ください。

●ロウバイのこの場所での生育は、前学長の鷲山教授の発案で、桜の開花前の時期に黄色い花をつける風景が良いと西東の両側に一定数のソシンロウバイが植えられていますが、株たち状態を見ると株の剪定はできておらず、樹高もかなり高く、並木道へ両側から入ってくる車からは、道路の見通しも悪くなっているので、長く伸びた株は花芽に気をつけて、2月の講習で全株、部分剪定し、本格的には、新井氏も指摘されているように花後に剪定をする予定です。

<2016年1月10日のソシンロウバイの開花状況>



<この項、続く>
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